2022 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的中枢神経系GLP-1受容体定量法の開発とその発現量変化の病的意義の解明
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21K20931
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 隆亮 京都大学, 医学研究科, 助教 (50904017)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 分子イメージング / GLP-1受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
独自に開発したSPECT用プローブである(Lys12[111In-BnDTPA-Ahx])exendin-4(111In-Ex4)を用い、マウス個体の中枢神経系領域に有意集積を描出できるかを検討した。111In-Ex4を投与したマウスの頭蓋内領域に、SPECTにて有意集積を検出した。Biodistribution Study にても、大脳などと比し、同領域組織で、有意に高い分布を認めた。さらに、SPECT画像から算出されたプローブ集積値と同領域組織でのGLP-1受容体mRNA発現量は有意な相関関係を示した。また、同一個体にて、SPECT撮像により、膵と同時に、上記領域の中枢神経系プローブシグナルを検出できた。さらに、高脂肪食摂餌マウスでは、同領域のプローブ集積値は、通常餌摂餌マウスに比べ有意に減少した。視床下部・下垂体等中枢神経系でのGLP-1受容体の発現は食欲や摂食行動に深く関係し、種々のGLP-1受容体作動薬の摂食抑制効果の一部は視床下部など中枢性作用を介することが知られている。高脂肪食は食の嗜好性や食欲に影響しGLP-1受容体発現量も変化する。食欲や摂食行動の制御は糖尿病予防・治療の大きな柱である食事療法の成否に直結し、肥満や耐糖能の増悪を通じて膵β細胞量に多大な影響をもたらすと考えられるが、食欲や摂食行動の制御は社会的な関心事であるにもかかわらず、客観的な可視化・定量化評価法が確立されておらず、実際の対策に苦慮している患者・医療従事者が多いのが現状である。111In-Ex4を用いた非侵襲的評価技術により、生体の膵β細胞量だけでなく、同時に高脂肪食による中枢神経系のGLP-1受容体発現への影響を可視化・定量化することを通じて、膵β細胞量保護に有用な栄養素や食行動などを探索できる可能性がある。
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