2021 Fiscal Year Research-status Report
CD8陽性T細胞の分化に着目した1型糖尿病の進展抑制を目指した治療法の開発
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21K20934
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
宮地 康高 九州大学, 大学病院, 助教 (00801515)
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2021-08-30 – 2023-03-31
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| Keywords | 1型糖尿病 / CD8陽性T細胞 / FoxO1 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病は、膵島炎を病理学的特徴とする自己免疫疾患で、CD8陽性T細胞は膵島炎で最も多く認める炎症細胞である。T細胞が分化するときに、複数の転写因子が協調して働くが、転写因子FoxO1は主要なものとして知られている。
研究代表者はFoxO1阻害薬で前処置したCD8陽性T細胞を刺激するとDMSO処理対照群と比較してIFNgの産生と分泌が減少することを確認している。この機序を明らかにする過程で、IFNgのマスター転写因子であるT-betの発現がFoxO1阻害薬処理群のCD8陽性T細胞で減少することを見出した。
当該年度においては、FoxO1とT-betのタンパクタンパク相互作用があるか否かを検証する目的で、HEK293細胞にFoxO1-FLAGおよびT-bet発現プラスミドを過剰発現させ、FLAG抗体を用いて免疫沈降を試みた。この実験系では、FoxO1とT-betのタンパクタンパク相互作用については確認されなかった。一方で、FoxO1阻害薬により、CD8陽性T細胞におけるT-betの転写は減少しないことを見出した。以上から、次年度ではFoxO1阻害によるT-betの翻訳後修飾（ユビキチン化とリン酸化）についての検討をおこなう。
さらに、当該年度においては、自然発症１型糖尿病モデル（NOD）マウスの膵臓組織切片の解析をおこなった。すでに、末梢血のCD8陽性T細胞を含む免疫細胞において、FoxO1が高発現することを見出していたが、膵島周囲にCD8陽性T細胞が浸潤することと、膵島周囲に浸潤する免疫細胞もFoxO1を発現することを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FoxO1阻害薬によるCD8陽性T細胞におけるT-bet減少について
当該年度においては、FoxO1とT-betのタンパクタンパク相互作用があるか否かを検証する目的で、HEK293細胞にFoxO1-FLAGおよびT-bet発現プラスミドを過剰発現させ、FLAG抗体を用いて免疫沈降を試みた。この実験系では、FoxO1とT-betのタンパクタンパク相互作用については確認されなかった。一方で、FoxO1阻害薬により、CD8陽性T細胞におけるT-betの転写は減少しないことを見出した。以上から、次年度ではFoxO1阻害によるT-betの翻訳後修飾（ユビキチン化とリン酸化）についての検討をおこなう。
FoxO1阻害薬によるT細胞内代謝の変化について
2-NBDGを用いた糖取り込みの検討において、T細胞受容体を刺激した翌日に、FoxO1阻害薬はCD8陽性T細胞の糖取り込みを低下させる。当該年度においては、T細胞の主要な糖輸送体であるGlut1の発現を、FoxO1阻害薬前後により変化するか否かを検討した。Glut1の変化は認めなかったため、次年度ではGlut1以外の糖輸送体の発現を検討する。また、細胞外フラックスアナライザー（Seahorse XF）を用いてCD8陽性T細胞内の解糖系や酸化的リン酸化を評価し、FoxO1阻害薬が細胞内代謝に与える影響を検討する。
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| Strategy for Future Research Activity |
当該年度は、主にCD8陽性T細胞を含むT細胞を用いた検討をおこなった。次年度では、1型糖尿病自然発症（NOD）マウスを用いて個体レベルでのFoxO1阻害薬の効果を検証する。具体的には、NODマウスにポンプを植え込み、FoxO1阻害薬を4週間持続投与する。経時的に血糖値を測定し、糖尿病の発症や進展が抑制されるか否かを検討する。投与終了後に膵臓組織を採取し、残存β細胞面積と膵島周囲へのCD8陽性T細胞の浸潤をコントロール群と評価する。
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| Causes of Carryover |
購入予定の試薬が、23,812円よりも高額であったため。次年度の助成金とあわせて購入する予定である。
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