2021 Fiscal Year Research-status Report
The elucidation of mechanism with propionic acid in liver ischemia and reperfusion injury.
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21K20959
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
川添 准矢 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 腫瘍研究部, 研究員 (60911295)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 肝虚血再灌流障害 / 短鎖脂肪酸 / プロピオン酸 / イヌリン / 食物繊維 |
Outline of Annual Research Achievements |
虚血再灌流障害は、虚血状態にある臓器や組織に血流が再開された際に惹起される臓器および組織の障害で、そのメカニズムは完全には解明されていない。 肝臓外科領域においては、虚血再灌流障害は間欠的肝血流遮断(Pringle法)や肝移植の際に生じる回避できない事象であり、虚血再灌流障害の予防・軽減は術後成績の向上と移植肝の保護のために重要な課題である。 今回注目した食物繊維であるイヌリンは、大腸内の腸内細菌叢により有機酸産生を促し抗炎症効果を発揮する。 本研究では、イヌリンおよび腸内細菌によりイヌリンから産生されるプロピオン酸に焦点を置いて、肝虚血再灌流障害に対する作用について検討した。 イヌリン配合飼料の摂取は、肝虚血再灌流障害を軽減し、門脈内および盲腸内のプロピオン酸濃度が有意に増加した。さらに、プロピオン酸の腹腔内投与は、コントロール群と比べ肝虚血再灌流障害を抑制することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画であるマウスのイヌリン摂取による肝虚血再灌流障害の軽減効果を確認した。そのメカニズムとして、腸内細菌叢の変化とプロピオン酸による肝虚血再灌流障害の抑制作用の観点から解析することで明らかにした。この成果をまとめて論文化し、海外雑誌Frontiers in Immunologyへ投稿しacceptに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により、短鎖脂肪酸であるプロピオン酸は、肝虚血再灌流障害の抑制作用を持つことが明らかとなった。そこで、酢酸など他の短鎖脂肪酸についても解析を行い、「短鎖脂肪酸による肝虚血再灌流障害の抑制」というテーマを掲げ、共通する炎症反応抑制のメカニズム解明に取り組む予定である
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により、所属研究機関の研究活動指針等を踏まえ、今回の成果は学会では未発表であるため、旅費を使用していない。 また、腸内細菌叢のメタゲノム解析を検討しているため、次年度へ繰り越しとしている。
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