2021 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボモジュリンの絨毛細胞機能修飾に着目した胎盤機能不全への新規治療薬開発
Project/Area Number |
21K20962
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 紘子 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (90892802)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 胎盤 / トロンボモジュリン / 妊娠高血圧腎症 / Drug delivery system |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠合併症新規治療戦略として、我々はDrug Delivery System技術を応用した胎盤標的型キャリアを開発し、PEG付加によるPEG化rTM製剤(rTMPEG)を作成した。PEG鎖にリコンビナントトロンボモジュリン (rTM)分子を結合させ分子量を大きくすることで、胎盤限局性に集積する胎盤標的型rTMを創薬した。さらにPEGに結合させたrTMの分子間距離を調整することで、薬剤の胎盤絨毛間腔表面への接着率が上がることを見出し、胎盤局所の薬理作用を向上させることに成功している。これらの発見の検証として蛍光標識したrTMPEGをヒト絨毛がん細胞株(BeWo細胞)に添加し、共焦点レーザー顕微鏡にて薬剤の細胞表面への接着率の比較実験を行い、rTMPEGがrTM単体と比べて細胞表面接着率が高いことを確認した。さらに蛍光標識したrTMPEG及びrTM を妊娠マウスに静脈投与し、12、24、48時間後に臓器(胎児、胎盤、肝臓、腎臓、脾臓)を摘出し体内薬剤分布を比較した。In Vivo Imaging System(IVIS)により各臓器への薬剤集積量を計測した結果、 rTMPEGが胎盤に限局集積し胎児や他臓器には集積しないこと、 rTM単体と比較してrTMPEGが長時間胎盤内に留まることを示した。摘出した胎盤組織を共焦点顕微鏡にて観察し、絨毛管腔にrTMPEGが集積することを確認している。さらにこのrTMPEG製剤を正常妊娠マウスに投与し妊娠経過を観察したところ、rTMPEGは胎仔や胎盤の重量を増加させ、胎盤組織の血管新生を促し、胎盤機能の改善作用を示すことを明らかにした。今後は妊娠高血圧腎症のモデルマウスに実際に薬物投与を行い、治療効果を検証していく予定である。
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