2021 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛有毛細胞再生初期過程でのtype I IFN/JAK/STAT経路の役割
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21K20964
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 麻美 京都大学, 医学研究科, 助教 (00599524)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 有毛細胞再生 / 支持細胞活性化 / type I interferon / JAK/STAT |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類蝸牛有毛細胞は再生せず、難聴は永続的となる。一方で、鳥類蝸牛有毛細胞は、周囲に存在する支持細胞を起源とした再生が可能で難聴は改善する。しかし、その分子メカニズムは解明されていない。鳥類蝸牛と哺乳類蝸牛の差異を明確にすることで、鳥類蝸牛有毛細胞再生メカニズムを解明し、哺乳類蝸牛有毛細胞再生治療薬開発に貢献することが本研究のねらいである。 先行研究では、鳥類蝸牛支持細胞から有毛細胞への再生過程のうち、再生初期の支持細胞の分子動態に着目し、鳥類蝸牛有毛細胞再生初期過程の網羅的遺伝子発現解析を行なった。結果、再生初期の支持細胞活性化に関与する新規シグナル候補として type I IFN/JAK/STAT 情報伝達系を検出した。 本研究では、鳥類蝸牛有毛細胞再生初期過程の支持細胞活性化におけるtype I IFN/JAK/STAT 情報伝達系の分子機構を明らかにし、マウス蝸牛での当該経路因子の発現の有無を検証することである。 当該年度では鳥類蝸牛有毛細胞再生初期過程における type I IFN 誘導因子の探索・同定、ならびに、再生起点誘因子となる JAK/STAT経路下流分子の探索・同定・機能解析を目的とした。 候補上流因子の免疫染色を行い、発現細胞を調べた。また再生起点誘導候補因子として、当該情報伝達系の下流分子の in situ hybridization (ISH) を行い、発現細胞を調べた。当該経路の抑制実験を行い、再生起点誘導候補因子の発現変化、ならびに再生有毛細胞数への影響を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
JAK/STAT経路として、canonical および non-canonical 経路が存在するが、阻害剤実験では各経路の選択的阻害剤を用いており、再生有毛細胞数への影響を及ぼす各阻害剤の濃度設定や投与期間の調整に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
再生有毛細胞数に影響を及ぼす選択的阻害剤の至適濃度・至適投与期間の決定をまず行う。次に、RNA干渉による責任経路の下流における候補分子の選択的抑制を行い、再生有毛細胞数への影響を検証する。ただし、RNA干渉の条件設定に時間を要する場合は、マウス蝸牛でのtype I IFN/JAK/STAT情報伝達系関連因子の検証も同時に進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であり、国際学会現地参加がとりやめとなり、web参加となったため旅費を消費しなかった。また、ISHのプローブ外注分(RNA scope) やRNA干渉実験の試薬等一式発注延期となったため。
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