2022 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛有毛細胞再生初期過程でのtype I IFN/JAK/STAT経路の役割
Project/Area Number |
21K20964
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松永 麻美 京都大学, 医学研究科, 助教 (00599524)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 有毛細胞再生 / 支持細胞活性化 / type I interferon / モチーフ解析 / ATAC-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類蝸牛有毛細胞再生初期の支持細胞集団での遺伝子発現変化を解明する目的で、支持細胞のみで構成される24時間後、48時間後、54時間後のサンプル及び傷害前サンプル(0時間)の4群に対するbulk RNA-Seq 解析を行った。クラスター解析や発現変動遺伝子抽出解析から0-24-48時間の間で、新規シグナルであるtype I IFN/JAK/STAT 経路の下流分子の発現変化が顕著であることに着目し、同経路が有毛細胞分化に必須のAtoh1遺伝子の発現上昇に関与していることを示唆する結果を報告した (Matsunaga M. 2020)。既報に基づき、本研究では、type I IFN/JAK/STAT 情報伝達系の支持細胞活性化における分子機構を明らかにすることを目的に、当該経路の上流分子の抽出および、下流分子の発現細胞同定を試みた。 上流分子の抽出において、第一に、情報統計学的手法による転写調節配列(モチーフ)解析を行った。結果、当該経路の上流転写因子として知られているIRF7が、0から48時間のサンプルにおいて高頻度に出現していることが解り、支持細胞の活性化に特異的な上流候補分子である可能性が考えられた。次に、モチーフ解析結果の妥当性を検証し、また網羅的に上流候補分子を探索することを目的に、0、24、48時間のサンプルを用いてATAC-seqを行った。現在、Atoh1遺伝子を含め、再生初期過程に発現上昇を認めた分子の上流に、当該経路における特異的分子を含め、その他新規候補分子が検出されているかを解析中である。今後は、候補分子の機能抑制実験を行い再生への関与を解析予定である。下流分子の発現細胞同定においては、胎生期マウス蝸牛有毛細胞で発現の報告があるSTAT3が、再生過程の有毛細胞に発現していることを免疫染色にて確認し、当該経路がの活性化を検証できた。
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