2023 Fiscal Year Annual Research Report
VEGF阻害薬が無効な糖尿病黄斑浮腫のバイオマーカーの確立および新規治療開発
Project/Area Number |
21K20974
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 房枝 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30791149)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病黄斑浮腫 / 光干渉断層血管造影 / 抗VEGF療法 / トリアムシノロンアセトニド / 毛細血管瘤 / 網膜光凝固 / 中心窩無血管域 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病黄斑浮腫(DME)は糖尿病患者において視力低下の主要な原因である。DMEは遷延することも多く、DMEの治療は長期にわたり行うことも少なくない。治療にはVEGF阻害剤、ステロイド、レーザー、硝子体手術などがあるが、現在は抗VEGF治療が主流である。しかし、抗VEGF治療を行っても黄斑浮腫が残存する症例や再発する症例が約4割程度ある。 光干渉断層血管造影(OCTA)は造影剤を用いないため網膜血管の詳細な評価を無侵襲に行う事が可能である。DMEの原因には様々な炎症性サイトカインの関与による血管透過性亢進や毛細血管瘤からの血漿漏出がある。様々なサイトカインを抑制するステロイドはDMEに有効であり海外では徐放性デキサメタゾンインプラントが承認されているが、国内では未承認である。国内でDME治療に用いられるステロイドはトリアムシノロンアセトニド(TA)であり、テノン嚢下注射と硝子体内注射(IVTA)で投与可能である。OCTAを用いたVEGF阻害剤やデキサメタゾンおける中心窩無血管域(FAZ)面積や毛細血管瘤数に関する過去の報告はあるが、TAに関する報告はない。 IVTAを行いDMEが改善した症例のOCTAによる毛細血管瘤等の網膜微小循環の解析を行った。OCTAを用いて画角3×3㎜内の毛細血管瘤の数、血管密度、FAZについて治療前後で比較評価を行った。IVTA後、毛細血管瘤数は表層、深層とも有意に減少し、治療前の深層の毛細血管瘤数と治療前中心網膜厚に有意な相関が見られた。血管密度は治療前後で有意な変化は見られなかったが、FAZは治療後、有意に拡大した。VEGF阻害剤により毛細血管瘤が減少することが知られているが、IVTAにおいても毛細血管瘤が減少し浮腫が改善する可能性が示唆された。
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