2021 Fiscal Year Research-status Report
複数の細胞を系統追跡可能な遺伝子改変マウスを用いた重症網膜疾患の病態解明の試み
Project/Area Number |
21K20982
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田崎 邦治 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60905983)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝子改変マウス / 網膜疾患モデルマウス / ミュラー細胞追跡 / 網膜色素上皮細胞追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では1年目に①疾患モデルの確立と②遺伝子改変マウスの作成、を行う予定であった。 ①疾患モデルの確立 増殖糖尿病網膜症モデルの作成については、マウスへのStreptozotocinの腹腔内投与により高血糖症を誘起した4~5週週後に自己血清、血管内皮促進因子を眼球内に注入し、繊維性組織の増生を惹起すを試みている。現在増殖性組織の形成される過程を明らかにしている。重症網膜剥離モデルの作成については、水晶体と硝子体を経角膜的に摘出し、網膜の一部を切除し重症の網膜剥離を惹起するという手技を既に確立している。繊維化黄斑変性症モデルについては、網膜へのレーザー凝固を行い、黄斑変性症を誘起する予定であったが、予定していた光凝固装置が使用できず、代替品を探しているが、予算の都合で用意できていない。 ②遺伝子改変マウスの作成 以前作成した網膜色素上皮細胞における遺伝子発現を調節できるマウス系統B6-Tg(VMD2-rtTA/Cre)を系統維持している。しかしこのマウスはトランスジェニックマウスであるため、導入効率が劣る可能性があり、ノックインマウスであるミュラー細胞追跡マウスの導入効率を比較し、今後必要があれば新たな網膜色素上皮細胞追跡マウスの作成も検討したい。またミュラー細胞追跡マウスとしては、Cre/loxpシステムとDre/roxシステムを組み合わせたdual lineage-tracing technology を利用したマウスを作成する予定であったが、交配の複雑性を考慮し、予定を変更してCreERTシステムを使用したマウスを作成し、現在F1世代を繁殖中である。CreリポーターマウスとしてはGRRを導入した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網膜疾患モデルマウスとして増殖糖尿病モデルマウスの作成を試みているが、自己血清の注入のための採血手技の習得に時間がかかった。また遺伝子改変マウスのデザインを変更したため、新たなデザインの考案等にも想定より時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、年度内には網膜色素上皮細胞追跡マウスおよびミュラー細胞追跡マウスで、増殖糖尿病網膜症モデルマウスおよび重症網膜剥離モデルマウスでの各細胞の挙動の観察を行いたい。しかし資源の関係で、今回は余裕がなければ繊維化黄斑変性症マウスの作成は見送り、他の実験に注力する。 また網膜色素上皮細胞の追跡マウスはTgマウスであるため、導入効率が劣る可能性があり、2つのマウスの導入効率を比較し、今後必要があれば新たな網膜色素上皮細胞追跡マウスの作成も検討したい。
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Causes of Carryover |
物品購入のため前倒し請求を行ったが、一部物品は共用機器の使用により購入する必要がなくなったため。今後、マウスの購入費・飼育費に充当する予定である。
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