2022 Fiscal Year Annual Research Report
Downstream signaling of G protein-coupled receptors in chemotherapy-induced peripheral neuropathy
Project/Area Number |
21K20983
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土田 陸平 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30907796)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | オートタキシン / ENNP2 / 遺伝子多型 / 神経障害性疼痛 / 炎症性疼痛 / リゾホスファチジン酸受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
リゾホスファチジン酸(LPA)受容体1~6のうち、これまでに我々はLPA受容体1とLPA受容体3の遺伝子多型(SNPs)が化学療法誘発性ニューロパチーの発症および重症化に関連していることを明らかにしてきた。LPA受容体1とLPA受容体3ではその下流の細胞内シグナル伝達において共通のG蛋白質(Gαq/11, Gα12/13)と異なるG蛋白質(Gαi/o)の関与が知られており、これらのG蛋白質の遺伝子多型(GNAQ, GNA11, GNA12, GNA13, GNAI1, GNAI2, GNAO1)と術後痛、がん性疼痛、オピオイド感受性との関連を調査した。その結果、GNAQでは術後痛およびオピオイド感受性との関連性が示され、GNAI1はがん性疼痛、GNAI2はオピオイド感受性との関連が示された。また、リゾホスファチジン酸を産生する酵素であるオートタキシン(ATX)はENPP2遺伝子にコードされる。顎顔面手術を受けた患者とがん性疼痛患者を対象に、疼痛強度(VAS)、オピオイド必要量とENPP2のSNPsとの関連性を検討した。その結果、2つのSNPs(rs7832704とrs2249015)でminor alleleを持つ患者と、VASを改善するのに要したオピオイド投与量が有意に関連していた。以上からENPP2遺伝子多型のminor alleleを持つ患者では、他の遺伝子多型の患者と比較して疼痛の重症化およびオピオイド必要量との関連を明らかにした。ATX/LPA軸はリンパ球のホーミングを介した血管新生や腫瘍との関連、自己免疫性疾患などの炎症性疾患との関連が明らかにされており、術後の炎症性疼痛の重症化やオピオイド感受性とも関連していることを明らかにできた。
|