2021 Fiscal Year Research-status Report
多血小板血漿(PRP)点眼の角結膜上皮障害創傷治癒促進機構の解明
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21K20997
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥村 雄一 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助手 (80907361)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 多血小板血漿点眼 / PRP点眼 / 角結膜上皮障害 / 角結膜上皮創傷治癒 / 多血小板血漿 / 難治性角結膜上皮障害 / 点眼 / PRP |
Outline of Annual Research Achievements |
移植片対宿主病、角膜移植、シェーグレン症候群や重症ドライアイ等により生じる難治性角結膜上皮障害は、疼痛・視力低下・感染性角膜炎・角膜穿孔等を引き起こす。難治性角結膜上皮障害に対する治療は点眼療法が中心となっているが、既存の治療では奏効しない難治性角結膜上皮障害が存在し、新規点眼薬の開発が望まれている。そこで、生理活性物質を多く含む多血小板血漿 (Platelet-rich plasma: PRP)の点眼応用が期待されているが、PRPの角結膜上皮障害に対する創傷治癒促進機構は未だ解明されておらず、臨床応用を阻んでいる。 本研究ではマウス角膜上皮創傷モデルを用いて、PRP点眼の局所投与による角結膜上皮障害治癒促進に関与する生理活性物質や発現変動遺伝子を特定し、PRP点眼による角結膜上皮障害治癒促進に関する増殖・分化・炎症制御機構の解明を目指す。 該当年度ではPRP点眼の作製方法を確立し、さらに、マウス角膜上皮創傷モデルを用いて、PRP点眼の角結膜上皮障害に対する有効性の検証を行った。PRPの局所投与により、リン酸緩衝生理食塩水や血清を局所投与した群と比較し有意に創傷治癒が促進されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究計画において、該当年度の実施予定事項は①PRP点眼の作製方法の確立、②マウス角膜上皮創傷モデルを用いたPRP点眼の角結膜上皮障害に対する有効性の検証の2つであった。①のPRP点眼の作製方法は確立できており、また②のPRP点眼の有効性に関する検証は該当年度で完了した。当初の研究計画通りに研究が進んでおり、現在までの進捗状況は概ね良好に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス角膜上皮創傷モデルから採取した角膜サンプルに対しRNAシークエンスを実施し、発現変動遺伝子を特定する。ネットワーク解析を実施し、発現変動遺伝子の濃縮するオントロジーを解明する。また、採取した角膜サンプルを粉砕し、角膜上皮細胞の増殖・分化に関与するTGF-β1、EGF、Fibronectin等や、IFN-γ、IL1β、TNFα等の炎症性サイトカインの発現をELISAとRT-PCR法により定量化する。さたにフローサイトメトリー法で、角膜に浸潤するT細胞、好中球、マクロファージ等の創傷治癒に関わる免疫細胞を定量化する。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大により、RT-PCR試薬およびELISAキットの納期の遅延が生じた。翌年度のマウス角膜上皮創傷モデルを用いた角結膜上皮障害治癒促進機構解明に対するRT-PCR試薬およびELISAキット等に次年度使用額を使用する予定である。
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