2022 Fiscal Year Research-status Report
表面での歯根膜再生を可能とする歯根破折歯修復用接着材料の新規適用法開発
Project/Area Number |
21K21006
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
浜谷 桂佑 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤研究員 (30911599)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 歯根破折 / 歯根膜 / 接着材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
8020財団の調査によると,本邦における抜歯の原因として齲蝕や歯周病は減少しているが,相対的に「歯根破折」は増加している.超高齢社会である本邦では補綴物の長期経過症例も増加しているため,今後増加する歯根破折歯への対応とその解決策が求められている.近年はできるだけ歯を保存するという観点から,4-META/MMATBBレジンセメントを用いて歯根破折歯の意図的再植が行われているが,破折線相当部の局所的な歯周ポケットの残存や,材料の劣化による再破折の問題は解決できていない.そこで,本研究の目的は,歯根破折修復後の破折線に沿って露出する接着材料表面にセメント質を再生させ,歯根膜を完全に再生させるため,「生体親和性と細胞誘導性」を有し,長期的に機能させることのできる「強度と接着性」を兼ね備えた,歯根破折修復のための接着材料適用法を開発することである. 初年度はまず、歯根破折歯修復用接着材料の理工学的検討として4-META/MMATBBレジンセメントの強度と接着性を担保する至適混合材料の探索と、歯根破折歯修復用接着材料に対する細胞反応のin vitro解析としてセメント芽細胞・骨芽細胞・歯根膜細胞を用いてその表面での増殖・分化を検討することを行ったが、ハイドロキシアパタイト(前田ら;私信)は既にin vitroでセメント芽細胞,骨芽細胞の増殖・分化が認められていたため、従来の4-META/MMATBBレジンセメントに混和した物を我々が確立したラット歯根破折歯修復モデルに応用する実験を行った。当該年度は個体数を増やし、充填材料周囲の組織学的検索を詳細に行った。ハイドロキシアパタイトを使用した材料を歯根破折の修復材料として使用した場合、その材料表面に硬組織もしくは軟組織が接する所見が認められた。また、実験中に炎症所見が認められたため、手術手技を改良したところ、炎症所見が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイドロキシアパタイトを4-META/MMATBBレジンセメントに混和したものを、我々が確立したラット歯根破折歯修復モデルに応用した。当該年度は個体数を増やし、充填材料周囲の組織学的検索を詳細に行ったが、炎症所見が散見されることがあったため、手術手技を改良することに時間がかかってしまった。しかしながら炎症所見を減らすことに成功したため、引き続き実験を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoでの検索を引き続き進める。炎症を引き起こしにくいように改良された手技にて個体数を増やし、免疫染色等を用いて詳細に検討を行う。ハイドロキシアパタイトを4-META/MMATBBレジンセメントに混和した材料を歯根破折の修復材料として使用した場合、その材料表面に硬組織もしくは軟組織が接する所見が認められた。さらに硬組織の再生を効率的に促すために、現在、本材料とエムドゲイン(エナメルマトリックスデリバティブ)を併用した実験も行っている。今後はより詳細に組織学的所見を観察し、試適条件を見つけていきたい。また、必要であれば非脱灰研磨標本の作製も行う。また、最終的にハイドロキシアパタイトでは目的とする接着材料表面での歯根膜再生が認められないと判断された場合はMineralTrioxide Aggregate(MTA),炭酸カルシウムを4-META/MMATBBレジンセメントに混和し、従来計画通りの実験を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにより度々行動制限があり、かつ身内の介護が必要となり研究時間に制約が出てしまったため。さらに実験手技に改良をするのに時間を要したため。しかしながら少しずつでも実験を継続し、結果が出てきているため、次年度も引き続き研究を精力的に行っていく。
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