2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液中の歯周病細菌がメタボリックシンドローム発症に及ぼす影響
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21K21011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伏田 朱里 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20908660)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 歯学 / メタボリックシンドローム / 衛生 / 疫学 / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国立循環器病研究センター予防健診部による、都市部一般住民を対象とした循環器コホート調査である「吹田研究」を母体として進めている。すでに、「吹田研究」参加者を対象として医科健診ならびに歯科健診を実施し、令和3年度末までにベースライン時受診者2,339名(50歳から79歳の男女、平均年齢65.8歳)、再評価時受診者(初回歯科健診より4年以上経過)1,437名のデータ収集が完了している。これらのデータを用い、歯周病や咀嚼機能といった口腔健康とメタボリックシンドロームや動脈硬化などの循環器疾患との関連について、以下の課題について解析を行い、明らかにすることができた。 ①咀嚼能力の低値とメタボリックシンドローム新規罹患との関連、②咬合力と将来的な循環器病発症との関連、③臼歯部咬合支持の減少と歯の喪失との関連、④唾液中のストレスマーカーであるIL-6やコルチゾールと咀嚼能力低値との関連、⑤歯周病の悪化が経年的な咀嚼能力低下に及ぼす影響、⑥ベースライン時の口腔健康状態(歯数や咬合支持、歯周状態など)から5年後の咀嚼能力低下を予測するモデル式の構築について論文にて報告した。 また、喫煙と将来的な咀嚼能率低下との関連について学会発表を行った。 上記のように、歯周病、咀嚼能力および咬合力など、口腔健康を多面的に評価し、メタボリックシンドロームや動脈硬化などの循環器疾患との関連について包括的に調査を行った。その結果、口腔健康と循環器疾患との関連についての基礎資料を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、まず、これまでに収集した唾液サンプルについて、歯周病細菌検査を進め、サンプルサイズを拡大し、唾液中の歯周病細菌の細菌数および菌種数の追跡期間中における変化が、再評価時におけるMetSおよびその構成因子発症に及ぼす影響について、縦断解析を行うことを予定している。 唾液サンプルの歯周病細菌検査は、令和2年度までに、ベースライン時における380名、再評価時における120名の歯周病細菌検査が終了していた。 令和3年度は、再評価時の237名の唾液サンプルについて、外注委託新たに歯周病細菌検査を行った。現在、歯周病細菌検査の結果について、データ整理中であり、解析を開始できていないため、進捗はやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したデータを使用し解析を行う。先ず、ベースライン時における、唾液中歯周病細菌とメタボリックシンドロームとの関連について横断解析を行い、関連する調査項目を絞る。次に、横断解析でメタボリックシンドロームとの関連を見出した唾液中の歯周病細菌の数および菌種数が、再評価時におけるメタボリックシンドロームおよびその構成因子発症に及ぼす影響について、縦断解析(性、年齢、生活習慣、既往歴)を調整した多変量解析を行い、今後の前向きコホート研究の基礎資料を得ることを目標とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、参加した学術大会がすべてオンライン開催となったため、旅費が使用できなかった。 次年度の学術大会の多くは対面形式を予定しているため、旅費として使用する予定である。
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