2021 Fiscal Year Research-status Report
咀嚼機能の概念革新のための咬筋特異的マイオカインの探索
Project/Area Number |
21K21013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
北川 若奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (10908669)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 咀嚼筋 / マイオカイン / 筋活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,咀嚼の能動器官である咀嚼筋において,咀嚼運動時に産生されるマイオカインを網羅的に探索,その特異性を明らかにし,“経口栄養摂取が全身健康に与える効果”を科学的に証明することを目的とする。具体的には,①咀嚼筋の筋細胞で産生されるマイオカインの特異性と②咀嚼によるそれらの因子の産生挙動に着目し,健全な口腔機能が全身健康に与える影響を,咀嚼筋のバイオロジーから紐解く基盤を形成する. 本年度は,下記の実験を実施してきた. 1.咀嚼筋と四肢筋の比較検討 咀嚼筋としてマウス咬筋,四肢筋としてマウスヒラメ筋を採取し,RNAを抽出し,咬筋に特異的に発現している遺伝子を,定量性RT-PCR法にて探索した.その結果,いくつかの興味深い遺伝子を抽出することに成功した.現在,網羅的遺伝子発現解析 (RNA-seq解析)を行うかどうか,RNAの質等を確認している. 2.マウスgnawing modelの構築 Tsuchiyaらの方法に従い (Tsuchiya et al. 2012),強制的咀嚼モデルマウスを構築した.そして,対照および実験モデルマウスの咬筋を回収し,強制的咀嚼により,炎症性サイトカインの発現がどのように変化するか,定量性RT-PCR法にて解析を行った.その結果,対照群と比較し強制的咀嚼モデルマウスの咬筋において炎症性サイトカインの遺伝子発現が上昇傾向にあった.しかし,個体差が大きく,統計学的有意差は認められなかった.そこで,現在,強制的咀嚼時間や食形態の変更を試みており,来年度もモデル動物の条件検討を行う必要がある.データが安定すれば,咬筋よりRNAを抽出し,RNA-seq解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究のメインであるマウスgnawing modelを使用した活動状態の咬筋回収には成功したものの,データが安定しないため,モデル動物の条件検討がもう少し必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は令和3年度に引き続き,マウスgnawing modelの条件検討を行う予定である.また,データが安定すれば,咬筋よりRNAを抽出し,RNA-seq解析を行う予定である.また,咬筋と四肢筋のRNA-seq解析も行う.そして,バイオインフォマティクス解析を実施し,咬筋特異的な遺伝子および過度な咀嚼により咬筋に高発現する遺伝子を抽出し,Gene ontology解析,Pathway解析を実施し,咀嚼運動時に産生されるマイオカインの同定を試みる予定である.
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Causes of Carryover |
本研究の基盤となるマウスモデルの確立に時間を要したことから,前年度に計画していた研究内容をすべて実施できずに次年度に予定することとなり,その研究に必要な費用も繰り越す必要があったため.また,新型コロナウイルス感染症の影響で学会が開催されず、旅費として予定していた金額を使用しなかったため.
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