2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉幹細胞由来エクソソームの分泌機序解明と内包miRNAによる骨吸収抑制効果
Project/Area Number |
21K21017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中尾 雄紀 九州大学, 大学病院, 助教 (90906322)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 歯肉幹細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、口腔領域に存在し、他の幹細胞に比べて、採取が容易であり、エクソソームの分泌用量が多いと報告のあるヒト歯肉幹細胞に注目した。先行研究( Nakao et al., Acta Biomater., 2021 )において、ヒト歯肉幹細胞(GMSC)は、細胞由来エクソソーム上に発現したCD73を介して、マクロファージ表現型を炎症性M1から修復性M2 へと誘導し、本エクソソームによるマウス背面皮下モデルにおける創傷治癒促進効果を確認した。また、ヒト歯肉幹細胞由来エクソソームは、歯周組織再生において中心的な役割を持つヒト歯根膜細胞におけるリポ多糖 (LPS)誘導性 RANKL発現を抑制した( in vitro )。 本研究の後続研究として GMSCs への前処理 条件について再検証した結果,TNF-α/IFN-α による 共刺激によりエクソソームによる M2 マクロファージ 誘導能がさらに増強されることが確認でき報告した( Watanabe et al.,Scientific reports.,2022)。さらに,ヒト歯肉幹細胞(GMSC)内包miR-1260bが歯周炎治療の有用なツールとなり得ることから、マウス 歯周炎モデルにおいてERストレス関連遺伝子の発現変動とmiR-1260bの骨吸収抑制効果について検証し報告した(Hayashi et al.,Frontiers in Cell and Developmental Biology )。 今後は,歯肉幹細胞由来 エクソソームが有する miRNA を介した抗炎症作用の 機序解明を通して,将来的にヒトを対象とした研究に 向けた分子基盤を構築し,歯周病治療にとどまらず「口 腔から全身の健康」に繋がる治療戦略への応用を目指したいと考えている。
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