2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K21021
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
田中 元博 昭和大学, 歯学部, 助教 (70908376)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 変形性関節症 / 軟骨細胞 / MCT-1 / 酸化ストレス / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨疾患の一つである変形性関節症(OA)では、酸化ストレスにより関節軟骨の細胞外基質の減少と軟骨細胞の細胞死が引き起こされる。これらの変性は関節軟骨の表層から進行することが知られている。しかし、その機序は明らかになっていない。一方、関節軟骨は典型的な無血管組織で、その表層と深分の酸素分圧は6%と1%と、深部に行くに従って酸素分圧が低下する。マウス軟骨様細胞ATDC5細胞をIL-1βに暴露すると活性酸素産生酵素NOX-2の発現が誘導されること、NOX-2の発現誘導にモノカルボン酸トランスポーター (MCT)-1が必要であることが知られている。変形性関節症では関節軟骨の変性は表層部から始まり深層に進行することから、軟骨細胞死に対する酸素分圧の関与をin vitroで解析した。その結果、関節軟骨表層と同じ6% 酸素下では細胞死が起こったが、深層と同様の2%以下では、MCT-1およびNOX-2の発現、細胞死がともに抑制されていた。軟骨細胞におけるMCT-1の発現制御に関する報告は皆無だが、本研究で、IL-1βの刺激を受けた軟骨細胞で、酸素分圧に依存して転写因子NF-κBの活性化が起こり、MCT-1の発現を上昇させることを見出した。さらに実験を進めて解析を行いin vivoでの酸素分圧の研究の足掛かりとなるデータ解析を継続して行っている。本研究の遂行により顎関節を含む変形性関節症の治療に有望なアプローチが見出される可能性があることから、本研究の継続は臨床的に重要な意義を持ち、大きな社会貢献となることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募者はIL-1βの刺激を受けた軟骨細胞で、転写因子NF-κBの活性化を介してMCT-1の発現上昇が起こることを見出し、臨床業務にて顎関節症の診断・治療に携わる傍ら、変形性関節症に分類される顎関節症の病態の解明を目指した基礎研究を行なってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、軟骨細胞死におけるMCT-1の役割をin vivoで評価し、MCT-1を標的とした、顎関節を含む変形性関節症の新たな治療戦略を探ることを目的としている。そのため、酸素分圧とMCT-1及びNOX-2の発現制御に関し、詳細に解析を進めたい。
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Research Products
(6 results)