2022 Fiscal Year Annual Research Report
新型コロナウイルス感染による舌味覚障害発生のメカニズム解明
Project/Area Number |
21K21036
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 徹 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20707335)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 新型コロナウイルス / COVID-19 / SARS-CoV-2 / 味覚障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、発熱、咳、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状がない状態での、嗅覚異常と味覚異常が報告されており、感染の初期症状ならびに後遺障害として注目されている。 しかしながら、COVID-19 による味覚障害が、嗅覚異常の随伴により生ずるものなのか、それとも舌の味覚を感知する味蕾細胞への直接作用によるものなのかなど、その詳細はまだ明らかではない。 本研究では雄性 Sprague Dawley ラット(6 週齢)を用いた。まず免疫組織化学的にラット味蕾におけるACE2受容体発現を確認した。次にSARS-CoV-2 recombinant spike/ nucleocapsid proteinsを有郭乳頭に塗布するSARS-CoV-2群、生理食塩水群、舌咽神経切断群、不活性化SARS-CoV-2タンパク質群(各n=4)において介入12日後に灌流固定し組織切片を作製後、味蕾数・味蕾面積・DAPI陽性味蕾細胞数について比較検討した。その結果、生食群と比較してSARS-CoV-2群で味蕾数・味蕾面積・DAPI陽性味蕾細胞数の有意な減少が観察されたが、不活性化SARS-CoV-2タンパク質群では観察されなかった。 そこでTUNEL assayを用いて、SARS-CoV-2群と対照群におけるアポトーシス細胞数の比較を行ったところ、対照群に比べSARS-CoV-2群で有意にアポトーシス細胞数の増加を認めた。さらにアポトーシスに関与するサイトカインTNF-α発現も有意に増加していることが明らかとなった。 SARS-CoV-2タンパク質により惹起される感染・炎症応答と免疫細胞動員などの機序により味蕾細胞のアポトーシスならびに味蕾構造の退行性変化が生じることが、COVID-19感染後の味覚障害の一因として関与している可能性が考えられた。
|
Research Products
(4 results)