2022 Fiscal Year Annual Research Report
Quiescentな歯周組織幹細胞の性状理解と制御機構の解析
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21K21039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
弓立 貴和子 (冨田貴和子) 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20909460)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 歯周組織幹細胞 / 長期標識保持細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまでに同定したマウス歯根膜中の長期標識保持細胞(LT-LRC)を解析することにより、歯周組織幹細胞の性状や分化過程の分子メカニズムを理解することを目的としています。このために(1)LT-LRCの単離と初代培養および分化過程の解析(in vitro)、(2)他の幹細胞との比較(ex vivo)、(3)組織での遺伝子発現解析(in vivo)の3つの解析を進めました。研究期間内で以下の成果を得ました。 (1)LT-LRCの単離と初代培養および分化過程の解析: Tet-off Twist2-GFPマウス歯根膜からLT-LRCを含む単細胞浮遊液を得て、GFP陽性細胞を分取し、同細胞を低酸素条件で継代培養しました。同細胞を石灰化誘導培地で培養すると、石灰化物の沈着を認めたことから同細胞が硬組織形成細胞への分化能を有することが示唆されました。 (2)他の幹細胞との比較:表面抗原発現について、野生型マウスでの検討を行うとともに、scRNA-seq解析を実施しました。その結果、LT-LRCは単一の細胞種ではなく、様々な分化程度の細胞を含むことが明らかとなりました。 (3)組織での遺伝子発現解析:Tet-off Twist2-GFPマウスの歯根膜組織切片を作製し、幹細胞マーカーと報告されているLeprやNestinについて、蛍光in situ hybridizationにてLT-LRCとの共局在を検討しました。(2)において実施したscRNA-seq解析の結果と一致して、これらのマーカー分子は一部のLT-LRCにのみ発現しており、LT-LRCが不均一な細胞集団であることが示唆されました。 以上より、歯根膜中のQuiescentな組織幹細胞の性状理解や、同細胞を介した歯周組織恒常性維持機構の理解が進展しました。
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[Presentation] 歯根膜一細胞アトラスの構築2022
Author(s)
岩下 瑞穂, 岩山 智明, 冨田 貴和子, 松本 修治, パーン ポンサティアン, 阪下 裕美, 宮下 和也, 北山 智美, 池上 健太郎, 新保 敬史, 玉井 克人, 竹立 匡秀, 山田 聡, 村上 伸也
Organizer
第65回春季日本歯周病学会学術大会
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