2022 Fiscal Year Research-status Report
銀系無機抗菌剤と上皮成長因子伝達能を有するティッシュコンディショナーの開発
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21K21045
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
叶井 里歩 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (70910727)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | ティッシュコンディショナー / 歯科補綴学 / 歯科理工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎える本邦では高齢者数が増加の一途を辿っており,高齢者の有床義歯環境の維持・管理が重要な課題となっている.ティッシュコンディショナーは従来より,義歯不適合に起因する義歯性潰瘍に対し粘膜調整を目的として頻用されているが,現在臨床応用されているティッシュコンディショナーは経時的に劣化するため微生物が付着しやすく,抵抗力の減退した高齢者の全身への持続的な感染源となる可能性がある.本研究の目的は,持続的な抗菌性を備えた銀系無機抗菌剤(ゼオライト)および粘膜治癒促進機能を持つ生理活性物質であるEGF(上皮成長因子)を使用し,抗菌性ならびに義歯性潰瘍治癒能を兼ね備えたティッシュコンディショナーを開発することである. これまでに行った各種予備実験により,EGFを持続的に徐放するキャリアーとして多孔性シリカが有効であることが明らかになった.また,粉末および可塑剤,上皮と銀系無機抗菌剤の添加量等の最適な成分組成を検討中であり,初動流動性・硬化進行中の動的粘弾的性質,硬化後の動的粘弾的性質とその経時的変化,さらに溶出成分の定性・定量解析等の理工学的評価を行った.本年度は一部データに不備が生じていたことから、これらの実験の再検討を行った.これにより,抗菌性と創傷治癒能を兼ね備えたティッシュコンディショナーの開発を検討するにあたり有用な結果が得られた.さらに並行してヒト歯肉線維芽細胞を使用した細胞実験も開始しており,今後は試作ティッシュコンディショナーの生体親和性解析,粘膜治癒促進能ならびに抗菌性の評価を進める予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初動流動性・硬化進行中の動的粘弾的性質,硬化後の動的粘弾的性質とその経時的変化,さらに溶出成分の定性・定量解析における予備実験に想定以上の時間を費やしたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は試作ティッシュコンディショナーの生体親和性解析,粘膜治癒促進能ならびに抗菌性の評価をさらに進める予定である.
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延により学会などの現地開催が行われず,オンラインでの開催となり,交通費,宿泊費用が生じなかったため. 使用計画は,各種消耗品の購入費用,学会が現地開催されれば交通費・宿泊費用を予算として計上予定である.
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