2022 Fiscal Year Annual Research Report
変形性顎関節症モデルマウスにおける”筋-腱-骨複合体”の動態解明
Project/Area Number |
21K21050
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
石束 叡 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (50906972)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性顎関節症は,下顎頭をはじめとする顎関節組織が骨変化や破壊を示す退行性病変である。本疾患は関節雑音、顎関節痛、開口障害などを主徴とする。しかし、無症状であっても骨変形、関節円板の穿孔や断裂を認めることも多く、その発症メカニズムは不明な点が多い。そこで、本研究では、マウスの関節円板を人為的に切除することで変形性顎関節症モデルマウスを作出し、筋の骨への付着部を『筋-腱-骨複合体』とする1つの機能的器官として捉え、変形性顎関節症発症時におけるこの複合体の変化を解析し、本症の病態を解明することを目的とした。その結果、変形性顎関節症では下顎頭の肥厚が起こることが明らかとなった。また、肥厚した下顎頭の内部では軟骨層が増加していることが免疫組織学的染色の結果から明らかとなった。また、下顎頭の外方に位置する側頭筋に変形が起きた。そこで下顎頭の肥大と筋の変形の相関分析を行った。その結果、下顎頭の肥大にともない、側頭筋の変形も大きくなることがわかった。近年、組織連関が疾患の増悪に関与していることが指摘され、筋疾患の有病者は骨疾患にも罹患していることが明らかになってきている。すなわち、様々な運動器疾患において、筋の異常と骨の異常が密接に関与している可能性がある。本研究により、変形性顎関節症においても骨と筋の器質的変化は互いに影響を及ぼしながら、病態が進行していくことが明らかになった。したがって、変形性顎関節症にしばしば見られる筋痛は骨の変形が筋に及ぼす変化が原因であることが示唆された。本研究は変形性顎関節症の新たな治療法創出につながると考えている。
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