歯根膜細胞とセメント芽細胞間におけるCD40-CD40L相互作用の機能

2022 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 21K21062
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 山本 優 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (80912211)
• Project Period (FY): 2021-08-30 – 2023-03-31
• Keywords: CD40 / CD40L / 歯周組織 / リモデリング

Outline of Annual Research Achievements

歯根膜はセメント質と歯槽骨の間に介在し、歯に加わるメカニカルストレスを緩衝し、歯周組織を保護しています。しかし、どのような分子機構によりメカニカルストレス受容システムとしてセメント質-歯根膜-歯槽骨複合体が機能し、歯周組織の恒常性が維持されているのかは十分に解明されていません。
そこで本研究では、歯根膜細胞において恒常的に発現していることが報告されており、メカニカルストレスにより同分子の発現が上昇することが明らかとなっている分子であるCD40と、そのリガンドであるCD40L分子の相互作用を、メカニカルストレスの情報をセメント質から歯根膜へ伝達する分子機構の一つとして着目し、これらの分子を介した歯根膜細胞とセメント芽細胞間の相互作用が、歯周組織のリモデリングにどのような役割を担うのかを解明することを目的としています。
昨年度は、CD40-CD40L相互作用が歯根膜のメカニカルストレス受容時に細胞の生存能・増殖能を向上させることを明らかとしたため、令和４年度は以下の研究を行いました。
GFP-CD40L発現ベクターをヒトセメント芽細胞に導入したGFP-CD40L-セメント芽細胞あるいはコントロールベクターを導入したGFP-セメント芽細胞を、CD40陽性歯根膜細胞と共培養することで、歯根膜細胞の分化能および細胞外基質（ECM）産生能を検討しました。その結果、GFP-CD40L-セメント芽細胞とCD40陽性歯根膜細胞を共培養した群において、石灰化関連遺伝子およびECM関連遺伝子の発現が上昇し、歯根膜細胞の分化能・ECM産生能が向上することが明らかとなりました。
以上の結果から、メカニカルストレス受容時において、歯根膜細胞-セメント芽細胞間のCD40-CD40L相互作用は、細胞の生存能・増殖能・分化能・ECM産生能を向上させ、歯周組織の恒常性維持に関与していることが明らかとなりました。