2021 Fiscal Year Research-status Report
軟骨誘導を施した間葉系幹細胞集塊を利用した新規歯周組織再生療法の開発
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21K21066
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀越 励 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (90911587)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 軟骨分化 / 軟骨内骨化 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎は、歯周組織への細菌感染によって生じる、骨破壊性の口腔内疾患である。歯周炎によって失った骨を再生することは非常に困難であり、現在の歯周組織再生療法は小規模で局所的な骨欠損のみ適応とされる。そこで本研究は、既存の歯科医療では再生不可能な重篤な骨欠損に対する効果的な治療法の開発を目的とした。 本研究では、軟骨分化誘導を施した、間葉系幹細胞(MSCs)と細胞自身が産生したコラーゲン等によって構成された細胞集塊C-MSCsを用いて実験を行った。細胞培養には、ヒト骨髄由来MSCsとXeno-free培地のみを用いているため、異種動物由来成分が含まれておらず、本研究の培養法は将来そのまま臨床応用可能である。 2021年度には、マウスの頭蓋冠を利用した1.6mm骨欠損モデルへの移植実験を行い、移植の4・8・12週後に回収し、CT画像解析や組織学的解析によって骨再生能を評価した。また、移植後3・7・14日後の回収によって、骨再生のメカニズムを観察した。その結果、軟骨誘導C-MSCsが軟骨内骨化を介して自身が骨化し、また周囲の細胞の再生を促すことで強い骨再生効果を示すことを明らかにした。 マウスの頭蓋冠1.6mm欠損モデルは比較的小規模な骨欠損であるため、大規模骨欠損への移植実験も必要であり、さらに歯周組織欠損に対する組織再生効果の評価も必要である。そのため、マウスの頭蓋冠4mm骨欠損モデルやラットの歯槽骨欠損モデルを作製して移植実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究にはヒト骨髄由来MSCsを用いているため、細胞株によって分化能に大きな差がある。また、マウス頭蓋冠4mm骨欠損モデルへの移植実験には多くのMSCsが必要であるため、研究を行う上で十分な量の提供が可能かつ軟骨分化能を持つ細胞株が不可欠である。研究に使用する細胞株の選別に予定以上の期間を使ったため、研究計画が遅延していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
SCIDマウスの頭蓋冠4mm骨欠損モデルおよびヌードラットの顎骨欠損モデルへのヒト由来軟骨誘導C-MSCsの移植実験を継続し、CT解析、組織学的解析によって組織再生効果を評価する。また、ビーグル犬の根分岐部病変モデルを作製し、自家細胞移植を行うことで大動物における歯周組織再生効果を検討する。
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Causes of Carryover |
2021年度の実験計画に遅れが生じたため、2021年度に予定していた実施内容を全て実施できていない。そのため、次年度使用額が生じている。また、当初予定していた実施内容は2022年度に実施する予定なので、計画通り助成金を使用する。
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