2021 Fiscal Year Research-status Report
Oxytocinを応用した新たな歯髄再生療法を探る
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21K21073
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
加藤 邑佳 明海大学, 歯学部, 助教 (10906697)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | Oxytocin / 歯髄細胞 / 象牙質形成 / 象牙芽細胞 / Oxytocin receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
すでにOxytocinが培養歯髄細胞での象牙質形成を亢進することを確認している(発表済み)が、今回はそのメカニズムをさらに解明するために、Oxytocin receptorの強制発現を行うための実験を行なった。ラットの子宮から分離したmRNAからcDNAを作成し、ライブラリーとしてOxytocin receptorのアミノ酸配列をコードする塩基配列(1450bp)をPCRにてクローニングし、発現ベクターにOxytocin receptorの遺伝子を組み込んだ。これらを培養歯髄細胞にトランスフェクションし、21日培養し、リガンドであるOxytocinを添加した結果、象牙質形成はわずかな亢進を示した。これらの結果は、Oxytocin receptorを通してOxytocinが象牙質形成を促進することを確認できた。さらに、Oxytocin receptorのin situ hybridization用のRNA プローブ(500bp)を作成するために、ラットの子宮から分離したcDNAを用いてデュアルプロモーターを有するベクターに組み込みRNAポリメラーゼによってDIG標識RNAプローブを作成した。これらのプローブを用いてラット下顎骨から作成した連続切片を用いて、in situ hybridizationを行なった結果、歯髄細胞と象牙芽細胞にその発現がよく確認された。また、歯根膜細胞にも同様にその発現が強く確認され、Oxytocin receptorは歯髄のみならず、歯根膜組織の機能にも作用することが確認できた。これらの結果は、培養実験と照合するとOxytocin receptorがdentinogenesisに強く関わりを持つことが明らかとなり、今後さらにOxytocin と細胞シグナル伝達の関係を探索する次のステップにつながる結果であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Oxytocin receptorの強制発現を行なった歯髄培養細胞を製作するために、ラットの子宮から抽出したmRNAをcDNAに変換し、Oxytocin receptorのアミノ酸配列をコードする塩基配列(1450bp)をPCRにてクローニングし、発現ベクターに組み込み、培養歯髄細胞にトランスフェクション後、21日間培養した。リガンドであるOxytocinを添加した結果、象牙質形成はわずかな亢進を示した。 また、Oxytocin receptorのin situ hybridization用のRNA プローブ(500bp)を作成するために、ラットの子宮から分離したcDNAを用いてデュアルプロモーターを有するベクターに組み込みRNAポリメラーゼによってDIG標識RNAプローブを作成した。これらのプローブを用いてラット下顎骨から作成した連続切片を用いて、in situ hybridizationを行なった結果、歯髄細胞と象牙芽細胞にその発現がよく確認された。また、歯根膜細胞にも同様にその発現が強く確認され、Oxytocin receptorは歯髄のみならず、歯根膜組織の機能にも作用することが確認できた。 最後に、当初予期していないことではあるが、Oxytocinのペプチドを低分子化した試薬を入手することができた。歯髄培養細胞にOxytocin receptorに対するリガンド(低分子)を添加した結果、明らかに石灰化が亢進するものとわずかに亢進を認めるものを確認した。Oxytocinの低分子化リガンドのdentinogenesisに対する作用についても合わせても併せて検討を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
歯の発生過程におけるOxytocin receptorの発現様式をin situ hybridization法と免疫染色によって詳細に時系列で解析する。ラットの胎児(週齢数をずらして)から下顎骨を摘出し、固定、脱灰、脱水後、パラフィン包埋を行い、連続切片を作成する。すでに、Oxytocin receptorのin situ hybridization用のRNA プローブ(500bp)があるため、これを用いてin situ hybridizationを行う予定である。 また、当初の予定通り、歯髄培養細胞を用いてCRISPR/CAS9を用いたOxtocin receptorのノックアウトを行い、Oxytocinの象牙芽細胞の分化マーカーであるDspp,Bgp,TypeⅠ collagen,Runx2,Axin2,Lef-1の遺伝子発現を検索し、象牙質形成に及ぼすOxytocin receptorからのシグナル伝達を詳細に解析する。 In vivoの実験として、Oxytocinの修復象牙質形成に対する実際の作用を確認する。すなわちラット臼歯を露髄させた後、Oxytocinを浸透させたコラーゲンスポンジを 窩洞へ入れ、仮封する。1,2,3,4週間後に脱灰切片を作成し、修復象牙質形成を形態学的に観察する。 最終的には、Oxytocinが象牙芽細胞の分化に及ぼす細胞内シグナル伝達の詳細を明らかにし、歯の発生過程においてどのような役割を担っているのか、さらに、修復象牙質形成促進作用を明確に証明する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、ダルベッコMEM培地およびファルコンの15mlチューブ、エッペンドルフ1.5mlチューブなどの一部消耗品の納品において大幅に遅れが出たことにより、納品が次年度になることとなった。 次年度に納品があるため、今年度分に支払うことが不可能な消耗品の代金を次年度の消耗品分として計上する予定である。
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Research Products
(6 results)