2022 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉上皮バリア機能に対する統合ストレス(ISR)の関与の解明
Project/Area Number |
21K21084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生川 由貴 大阪大学, 大学院歯学研究科, 特任研究員 (40910188)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞間接着分子 / 高血糖 / 歯肉上皮細胞 / 酸化ストレス / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、糖尿病患者の歯周病悪化のメカニズムの一端を歯肉上皮細胞のバリア機能に焦点をあて、酸化ストレスと統合的ストレス応答の関与に着目し、その詳細を解明することを目的としている。 昨年度は、正常血糖(5.5 mM D-glucose)および高血糖(30 mM D-glucose)条件下で14日間培養した歯肉上皮細胞(epi 4)において、細胞内の活性酸素(Reactive Oxygen Species:ROS)の蓄積を蛍光強度にて測定した。その結果、高血糖条件においてROSの産生亢進が認められた。さらに、抗酸化物質であるN-acetyl-cysteine(NAC)を添加し、epi 4を14日間培養後、細胞間接着分子であるClaudin1の発現変化をReal time PCR法にて検討したところ、高血糖状態のepi 4における細胞間接着分子の発現低下に対して、NACによる阻害効果が認められた。 本年度は、同上条件で培養したepi 4において、活性酸素の軽減に関するATF4の遺伝子発現についてReal time PCR法にて検討した。その結果、高血糖状態のepi 4において、ATF4の発現低下が認められた。また、MAPKシグナルに対する高血糖の影響を検討するため、MAPKのリン酸化をWestern Blot法にて比較解析したところ、高血糖状態ではERK1/2リン酸化の亢進が認められた。さらに、高血糖状態のepi 4にNACを添加して14日間培養したところ、高血糖状態のepi 4におけるERK1/2リン酸化の亢進に対してNACによる阻害効果が認められ、NACによる抗酸化作用が示唆された。 これらより、高血糖状態は歯肉上皮細胞の酸化ストレスを増大させERK1/2が活性化することにより、細胞間接着分子の発現低下を引き起こしていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)