2021 Fiscal Year Research-status Report
小児の睡眠時ブラキシズムが睡眠呼吸障害を増悪させる仕組みの解明
Project/Area Number |
21K21086
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 優季 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40912457)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 睡眠時ブラキシズム / 小児 / 睡眠呼吸障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では,小児に終夜ポリソムノグラフィ (PSG) 検査を実施し、①小児睡眠時ブラキシズム (SB) 患者で多発するリズム性咀嚼筋活動 (RMMA)の発生による、睡眠中の呼吸動態の変化を解析する方法を確立し、②閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA)・SBを併発する小児で呼吸動態の不安定性が睡眠構築の分断化を増悪させる可能性について検討する予定である. 2021年度は,小児SB患者においてRMMAの発生による睡眠中の呼吸動態の変化を解析する方法を確立し,RMMAに伴って生じる呼吸動態の不安定性について明らかにすることを目標とした.まず,以前に申請者らがPSG検査を実施して得た健常な小児55名のデータに関して,5秒以上の一時的な呼吸停止や中枢性・閉塞性無呼吸低呼吸をスコアした.小児では微小覚醒後に,一時的に呼吸が停止することが知られており,小児被験者らの終夜における一時的な呼吸停止の発生率は若年成人被験者より多いことを確認した.また,RMMA発生による呼吸動態の変化を検討するために,RMMA発生後に一時的に呼吸が停止する割合を算出し,その割合が若年成人被験者より優位に高いことが明らかとなった.本小児被験者らは,OSAではないか,もしくは軽度OSAであり,今後SBとOSAを併発する小児を対象として,呼吸動態の変化として一時的な呼吸停止を判定する方法は有用であると考えられる. さらに,小児の肋間筋筋電図活動から努力呼吸を定量化するために必要な専用ソフトを検討した.今後はそのソフトを利用して、SBとOSAを併発する小児を対象に含めてRMMA発生の呼吸動態の変化としての肋間筋筋電図解析をすすめる予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の目標であった,RMMAの発生による睡眠中の呼吸動態の変化を解析する方法の確立を終えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,SBと睡眠呼吸障害を併発する小児の睡眠の特性を定量的に解析し,小児のRMMAが睡眠の分断に与える影響や呼吸動態の不安定性が睡眠構築の分断化を増悪させる可能性について検討する予定である.SBと睡眠呼吸障害に共通する病態生理や増悪させ る要因を明らかにするために,基礎疾患や睡眠呼吸障害以外の睡眠関連疾患の既往がない睡眠呼吸障害が疑われる被験者のリクルートし,PSG検査を行う.得られたデータについて,睡眠段階や覚醒反応,呼吸イベント,RMMAを判定する.次に,解析プログラムを用いて,RMMAに随伴する呼吸動態を解析する.解析項目は,呼吸数の減少や呼吸の増幅,胸腹運動の位相差,肋間筋筋電図活動の上昇とする.また,脳波活動および自律神経活動を定量的に解析し,RMMAに伴って呼吸動態が不安定になる場合の,睡眠特性を評価する.さらに,RMMAの発生頻度や呼吸動態,脳波活動,自律神経活動は,いずれも終夜を通じて周期的に変動することが知られている.よって,RMMA,呼吸動態の不安定性,睡眠の特性について,周期的な変動様態や,時間的相関について検討する.本研究の成果報告のための学会発表や論文による公表を予定している.
|
Causes of Carryover |
小児の睡眠を専門とする技師への謝金が2021年度は必要なく、2022年度のPSG実施や専門性の高い解析時に繰り越したため。
|