2022 Fiscal Year Research-status Report
歯の早期喪失がアルツハイマー病発症メカニズムに及ぼす影響について
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21K21102
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
越智 鈴子 朝日大学, 歯学部, 助教 (70912591)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 歯の早期喪失 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では第三世代ADモデルマウスを用いて、AD発症の危険因子のひとつである歯の早期喪失がADの発症メカニズムに及ぼす影響を明らかにすることを目的と して、①ストレス状態、②アミロイド班とそれに伴う神経炎症、③シナプトフィジン形成量、④空間認知能の解析を行うこととする。 2021年度の実験では、理化学研究所より無償給与されたAppNL-G-F KIマウスを用いた。1か月齢で両側上顎臼歯を抜去した群を早期喪失群、非抜去群をコントロール群とした。処置後6か月齢まで飼育し、2群間で初年度に比較検討した①ストレス状態、②アミロイド班とそれに伴う神経炎症、④空間認知能の3項目に加え、③シナプトフィジン形成量の比較検討を行った。 2021年度の結果として、早期喪失群はコントロール群と比較し、血中CS濃度および海馬・大脳皮質の両領域におけるアミロイド斑、ミクログリア、アストロサイトの陽性面積の占有率(%)が有意に高値を示し、また、Morris水迷路学習テストにおいても早期喪失群はコントロール群と比較し、プラットフォームへの到達時間の延長がみられたことで歯の早期喪失が慢性ストレスとして作用した結果、上昇した血中CSが、アミロイド斑の形成を促進し、それに伴い生じた神経炎症が空間認知能の低下を引き起こしたと考えられた。 2022年度は③シナプトフィジンの形成量を、採取した大脳歯質および海馬においてウエスタンプロットを行い比較検討した、実験結果はt検定とRepeated measure ANOVAを用い統計処理を行った。またp<0。05を有意差があるものと判定した。結果として、コントロール群と比較し、早期喪失群のシナプトフィジン形成量は優位に低下した。 これにより初年度の結果に加え、歯の早期喪失がアルツハイマー病の進行に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ渦であったことから、外部での実験が延長および中止などがあり予定通り行えなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性サイトカインおよびタウタンパクのリン酸化を比較検討することにより、歯の早期喪失がアミロイドの増加にどのように関与しているか明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナ渦であったこともあり、予定していた外部での実験が延期および中止になったこともあり思うように進めることができなかったため。 2023年度ではコロナでの制限もほぼなくなっていくと考えられるため外部での実験活動および発表を積極的に行っていく予定である。 2021年度、2022年度の研究結果に加え、神経炎症の原因となる活性化ミクログリア及びアストロサイトによって産生される炎症性サイトカインや、タウタンパクのリン酸化を比較検討することにより、歯の早期喪失がどのようにアミロイド班の増加およびアルツハイマー病の発症に影響するか明らかにしていく。
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