2021 Fiscal Year Research-status Report
学童後期に阪神・淡路大震災で被災した人々の震災体験語りの実態とニーズの全国調査
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21K21123
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
田中 加苗 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (70910123)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 阪神・淡路大震災 / 学童後期児童 / 語り / 災害看護 / 震災体験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、看護職によるナラティブ・アプローチを基盤としたかつての被災児童たちへの心理社会的ケアシステム構築の一助とするべく、学童後期時代に阪神・淡路大震災(1995年)で被災した人々を対象に、他者に震災体験を語った経験の有無(実態)と今後他者に震災体験を語る意思があるか(ニーズ)を全国的に調査することである。研究方法はオンラインによる無記名自記式質問紙調査とした。 2021年度は、質問紙や同意書等の書類作成、質問紙の適切性の検証(9月~12月)、リクルートとデータ収集(オンライン調査サポート会社への発注含:2月)を当初の計画通りに実施した。質問紙での調査項目は、属性(性別、震災時の学年、震災時の喪失経験など)、過去に他者に自身の震災体験を話した経験の有無、自分にとって話して良かったと思う経験の時期・相手、話して良かったと思える理由、震災体験を話しづらいと感じた経験の有無と理由、今後他者に震災体験を話してもよいと思える状況の10項目とした。 2021年度3月には、各項目データの単純集計、クロス集計を行い、過去に自身の震災体験を人に話した経験の有無と属性の関連を統計学的に検討した。全国に住む462名から得られたデータを分析した結果、専門職者相手ではなく同じような体験をした仲間内での語り合いが震災直後にポジティブに機能していたこと、今後もそのような場が当事者にとって安心できる体験外在化の環境であることが示唆され、これはかつての被災児童たちへの看護職による心理社会的ケアの方向性決定の根拠となりうると言える。 以上のような成果を公表すべく、2022年9月開催予定の日本災害看護学会への演題登録を完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実現可能な計画を立案していたため。得られた回答者数は想定よりも少なかったが、予算等の兼ね合いから、可能な範囲で最大限のデータを収集できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は引き続きデータ分析を行い、学会発表の準備を行う。また、世界的にみても希少な研究であるため、英語論文での公表を目指しており、投稿論文の作成を行う。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していたPCの購入を2022年に変更した。
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