2021 Fiscal Year Research-status Report
施設に入所している認知症高齢者に対するマルチモーダル非薬物的介入の効果検証
Project/Area Number |
21K21126
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Research Institution | Seijoh University |
Principal Investigator |
萬屋 京典 星城大学, リハビリテーション学部, 講師 (60908317)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | マルチモーダル非薬物的介入 / 認知症 / 施設入所高齢者 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は施設に入所している認知症高齢者の全般的認知機能,見当識,記憶,視空間認知機能の維持改善効果について,マルチモーダル非薬物的介入を用いた予備的研究をシングルケースABデザインで検証した.介入の内容は運動と認知訓練と日常生活活動実践を組み合わせたものであり,研究協力施設の作業療法士または理学療法士が実施した.非介入期間2か月,介入期間2か月として,3名の対象者に対して開始し,2021年度は2名の対象者の研究が完了している.2名の全般的認知機能,記憶,視空間認知機能は維持および改善が窺われ,第2アウトカムとしていた行動心理症状や日常生活活動能力,認知症重症度についても維持・改善が窺われた.マルチモーダル非薬物的介入は認知症高齢者の重症化予防に期待できると思われた.1名は現在介入中であり,間もなく完了する予定である.本研究は認知症のタイプの中でも最も多いアルツハイマー型認知症とアルツハイマー型認知症の疑いがある認知症高齢者を対象としており,焦点を当てている特定の認知機能もアルツハイマー型認知症に特徴的な認知機能低下に合わせた内容(見当識,記憶,視空間認知機能)としている.本研究によりマルチモーダル非薬物的介入の効果が実証できれば,より多くの認知症高齢者に対する認知症重度化予防に繋がることが期待できると思われ,介入とその効果の検証を継続していく事には意義があると思われる. 今後の予定として,2022年度は予備的研究が完了するため,次の段階として2022年7月を目途に2群での無作為化比較試験を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初は8名程度の対象者で実施予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響により,研究協力施設の職員からの協力が得られにくくなり,3名での研究実施となった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究協力施設は3施設であり,目標とする研究対象者数40名の確保が課題となる可能性がある.2022年7月には次の介入研究として2群での無作為化比較試験を開始する予定であるが,随時研究協力施設を募りつつ目標とする研究対象者数の確保を目指す.
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Causes of Carryover |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響により研究協力者の協力が得られにくい状況となり,対象者が減少したため当初研究協力者へ支払う予定だった謝金の支払いができなかった.翌年度に請求した助成金は複数の対象者を予定している無作為化比較試験による介入研究を実施する際に協力していただく研究協力者への謝金に充てる.また,現時点で得られているデータから学会発表と英語での論文投稿を予定しており,学会参加費や英文校正,掲載料に充てる予定である.
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