2022 Fiscal Year Research-status Report
A Registry study of patients on the Free/Low-Cost Medical Care Programs
Project/Area Number |
21K21127
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西岡 大輔 大阪医科薬科大学, 研究支援センター, 講師 (90901041)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 無料低額診療事業 / 無低診 / 貧困 / 生活困窮者 / 医療ソーシャルワーク / 社会福祉学 / 社会疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
経済的に困窮した人ほど健康を害しやすいが、必要な医療受診を控えやすい。困窮する患者の医療受診を経済的に支援する無料低額診療事業(無低診)は、医療機関が定める基準を満たした患者の医療費の窓口負担を減免できる社会福祉制度である。本研究では、無低診利用者の全国的な実態を明らかにするために、無低診の利用者データの全国レジストリを構築することを目的とした。2022年度4月からは研究参加機関の利用者のデータがレジストリへと登録され、約50実施医療機関が研究参加し、およそ350名のデータが収集された。収集された無低診レジストリ研究の登録データからは、利用者の約4割に過去1年間の経済的な理由による受診控えの経験があり、無低診の認知度によっても受診控えが緩和されないこと、利用者のうちの約半数は、今までに生活の困難を誰にも相談しておらず、無低診の利用をきっかけに始まる社会福祉による支援があることが示唆された。あわせて、医療ソーシャルワーカーによる無低診の実践を共有する場をオンライン形式で開催した。これらの内容を報告する場として、無低診研究フォーラムを開催し、参加者とともに無低診の可能性や課題を共有した。無低診の全国的な課題を解決していくためには、本研究が今後も多くの日本各地の医療機関と協力し利用者の状況把握をさらに進め、困窮する人々が無低診を利用するための障壁の除去に貢献できる資料を作成していくことが求められる。無低診により減免した医療費と税制上のインセンティブを考慮した無低診の経営影響を記述することが求められる。最後に、無低診の現代的な社会保障制度の中での役割や位置付けに関するさらなる議論が重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レジストリの完成およびデータ収集は順調に行われたが、学術論文の査読が遅れており、研究期間を延長し、その成果を公開する。
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Strategy for Future Research Activity |
無低診レジストリ研究の成果を学術的に公開し、またその成果を分かりやすい形で世の中に公表することで、研究を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響によりオンラインでの医療機関との面談が多く、また学会への参加もオンライン参加が基本となったため、旅費の執行が少なかった。さらに英語論文の査読が遅れており、その分の予算が余っている現状である。次年度は学会発表が現地開催で決定しており、また論文の出版にも至ることができる見込みであり、研究費を執行できる予定である。
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