2023 Fiscal Year Research-status Report
A Registry study of patients on the Free/Low-Cost Medical Care Programs
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21K21127
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
西岡 大輔 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (90901041)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2025-03-31
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Keywords | 貧困 / 無料低額診療事業 / 医療アクセス |
Outline of Annual Research Achievements |
経済的な困窮は患者の医療アクセスに負の影響を及ぼす。無料低額診療事業(以下、無低診)は社会福祉法第2条第3項などに基づいて、医療機関が独自の基準で低所得者などに無料/低額な料金で診療をする事業である。無低診は経済的に困窮する患者の医療アクセスを改善することが期待されていたが、私たちは無低診の認知のみでは受診控えは解消されない可能性があることを明らかにした(西岡ら, 2023)。受診控えの解消につながる要因についての追加の検討が必要と議論されたため、令和5年度は追加の解析を実施し、無低診の過去の利用経験の有無が経済的な理由による受診控えの経験と関連するかを明らかにすることを目的とした。 令和4年4月から翌年3月までの期間に無低診レジストリ研究に参加することに同意した25の無低診医療機関の332人の無低診の新規相談者を対象とした。 説明変数として無低診の利用歴の有無、共変量として対象者の年齢、性別、収入、世帯人数、国籍、教育歴を用い、過去1年の2回以上の受診控えの有無を目的変数とする多変量ロジスティック回帰解析を行った。293人が解析対象となり、そのうち無低診の過去の利用歴があったのは76人(25.9%)だった。無低診の利用歴がある人では、利用歴がない人に比べて受診控えの経験が少ない傾向にあった(オッズ比0.56、95%信頼区間0.31-1.01)。 経済的に困窮している患者において無低診の利用歴がある場合は受診控えの低減につながりうることが示唆された。今後、困窮者に対して制度の情報発信だけでなく、利用をしやすくする取り組みが求められる。本追加解析結果を踏まえた研究を国際学会で発表予定である。また、国際誌に査読中である。他にも、本研究に関連して、無低診を利用する患者では、緩和ケア受療期間が短くなりやすいことなどを国際誌に発表し、利用者の実態を記述することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
追加解析の必要性が生じたため、国際誌への再投稿が遅くなったため。一方で、追加解析によって、有意義な結果を得ることができ、令和6年度には、この成果を国際学会・国際誌に公表し、研究の完成を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
追加解析が完了したため、令和6年度には、国際誌に受理されることを目標に論文の再投稿を進め、研究課題を完結させる。
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Causes of Carryover |
1つの研究論文の再解析により国際誌への投稿・受理が遅れたため。令和6年度には国際学会の発表および国際誌への投稿によりすべて精算する予定である。
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