2021 Fiscal Year Research-status Report
よい睡眠とは何かを明らかにするための機械学習を用いた睡眠脳波の探索的研究
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21K21135
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大道 智恵 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (30907944)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 睡眠疫学 / 睡眠脳波 / うつ / レム睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠に関してはしばしば主観的評価と客観的評価に乖離が見られる. 主観的評価についてはこれまで様々な評価尺度が用いられてきたが, 客観的評価については未だ診断基準が確立していない. これは, 睡眠脳波と健康や生産性などのアウトカムを比較した大規模研究が存在しないことが原因と考えられる. 本研究では, 2015年より滋賀県甲賀市の市職員約2000名(参加率約8割)を対象に, 睡眠やメンタルヘルスおよびQOL, 生産性, 休業などのアウトカムの質問紙調査と脳波計測を実施してきた. 今後, さらにこの追跡調査を進めるとともに, 機械学習により睡眠脳波指標を選定し, 質問票と健康診断結果を併せて解析することで世界に先駆けて「よい睡眠」の客観的指標を同定することが本研究の目的である. 「よい睡眠」の客観的指標が明らかになることで, 不眠症治療の非薬物的介入への応用だけでなく, 一般的な社会生活における活用が今後期待される. 1ch脳波計を用いた睡眠脳波計測の解析結果と質問票・健康診断のアウトカムの経時変化を比較し, それぞれ良好なアウトカムと関連する睡眠脳波指標を明らかにすることで, 世界に先駆けて“よい睡眠”と何かについての客観的指標を創り出すことが本研究の目的である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究課題において論文を発表した。うつ症状のある人はレム潜時が短く、睡眠潜時が長いという結果を報告した。(Omichi C, Kadotani H, Sumi Y, Ubara A, Nishikawa K, Matsuda A, Ozeki Y, The NinJaSleep Study Group. Prolonged Sleep Latency and Reduced REM Latency Are Associated with Depressive Symptoms in a Japanese Working Population. Int J Environ Res Public Health. 2022 Feb 13;19(4):2112. doi: 10.3390/ijerph19042112. PMID: 35206296; PMCID: PMC8872621.) また、この対象者の中で不眠がある人において主観的睡眠時間と客観的睡眠時間、主観的睡眠潜時と客観的睡眠潜時に差があるという結果を2022年6月30日に開催される日本睡眠学会定期学術集会で口頭発表する予定である。(抄録採択済)
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Strategy for Future Research Activity |
今後, さらに追跡調査を進めるとともに, 機械学習により睡眠脳波指標を選定し, 質問票と健康診断結果を併せて解析することで世界に先駆けて「よい睡眠」の客観的指標を同定するための解析を続ける。 また、うつ症状やその他の疾患発生をアウトカムとした睡眠時間の経時変化を解析予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度はコロナの影響で出張・学会発表が制限された。今後、成果の発表のために国際学会へ参加する予定である。また、引きつづき本研究の追跡調査を継続し、機械学習に必要な解析ソフトを購入する予定である。
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