2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模データを用いた新型コロナウイルス感染症の影響評価およびその地域差の要因分析
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21K21136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
愼 重虎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00911934)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | COVID-19 / 新型コロナウイルス感染症 / DPC / 急性期病院 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度から京都大学大学院医学研究科医療経済学分野が運営しているQIP(Quality Indicator/Improvement Project)の多施設DPCデータを用い、COVID-19の病院医療へのインパクトについて多角的に分析を行ってきた。2021年度にもQIPデータの分析を続けており、COVID-19まん延の初期の市中肺炎、アルコール性肝疾患・膵炎、小児ぜん息、認知症患者に対する身体拘束、脳梗塞、心不全についての分析を行った。その結果、COVID-19のまん延の前と比べ、COVID-19のまん延の初期の2020年4月に市中肺炎、小児ぜん息、脳梗塞、心不全により減少が示された。一方で、アルコール関連肝疾患・膵炎は増加した。COVID-19パンデミックが急性期病院に入院している認知機能障害のある高齢者への身体拘束に与えた影響についての分析では、COVID-19患者の受け入れがあった病院で身体拘束の増加を認めた。 COVID-19のまん延が長期化していることと共に、同データを用いてCOVID-19の中期的な影響も分析を行った。COVID-19流行がPCI(経皮的冠動脈インターベーション)実施に与えた中期的な影響を調べた分析では、最初の流行においてはその後の流行に比較し、PCI症例数は大きく減少し、予定PCIは緊急PCIに比較し減少は大きかった。減少は、流行開始後約1年にわたって続いた。一方で、緊急PCIの院内死亡割合は、流行開始において、有意な変化は見られなかった。 DPCデータの分析と共に、日本のCOVID-19対策と韓国、台湾の対策の比較も行った。日本のCOVID-19対策は、入国制限、感染者の追跡が台湾、韓国と比べ、実施開始も、普及も遅く、COVID-19蔓延の初期の日本の対応は「3密を避ける」ことを促し、国民の自発的な協力に大きく頼っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度から行ってきた多施設DPCデータの収集が定期的に行っており、その分析も順調に進んでいる。COVID-19のまん延が長期化されており、最新のデータを用いてその中期的な影響も調べつつある。また、DPCデータ分析のみではなく、COVID-19対策の日韓台比較なども行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度まではCOVID-19のまん延の病院医療、特に急性期医療へのインパクトについて分析を行った。COVID-19のまん延が長期化されており、2022年度にはその慢性疾患への影響も調べる必要がある。そのため、DPCデータのみではなく、レセプトデータの分析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度に出張などのためにパソコンを購入する予定だったが、COVID-19まん延の長期化で出張が減り、購入時期を遅らせることとした。同理由で2021年度には旅費の支出がなかった。
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Research Products
(14 results)