2021 Fiscal Year Research-status Report
透析中低血圧を防止する機械学習を用いた血圧低下予測モデルの構築
Project/Area Number |
21K21149
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
川崎 路浩 神奈川工科大学, 健康医療科学部, 助教 (00908072)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 深層学習 / 血液透析 / IDH / Tensorflow / 予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液透析中,場合によっては急激な血圧低下を起こす.血圧低下は生命予後に影響すると言われており,補液をおこないながら治療をおこなう方法など様々な工夫がおこなわれている.しかし,このような技術手法を駆使しても,急激な血圧低下を防ぐことができていない現状である.本研究では患者背景(性別、年齢、疾患名など)や過去の透析施行中データ(時間,最高血圧,最低血圧,平均血圧,除水速度,除水量,心拍数,体重)から単位時間あたりの各要素の変化量を算出し,統計学的手法を用いて要因を用いて透析施行中の血圧低下予測モデルを構築して血圧低下を予測するという新たな指標の確立を目指している. バイタルデータは各患者の血液透析治療中の血圧が主に一定時間間隔で記録されている.本検討では治療中の収縮期血圧に着目して1回の治療中における時間ごとの血圧変化を算出し血圧変化が30mmHg以上あった場合を血圧低下有りとして「1」,それ以外を「0」として,その治療中における血圧低下発生の有無を定義し,VBAのプログラムで,血圧低下データを有無(1,0)のデータに変換した.K/DOQIガイドラインでは,透析中の急激な血圧低下とは,収縮期血圧が20mmHg以上と定義しているが,その根拠は明らかでないため,国内外のIDHと生命予後に関する先行研究で利用されていた,30mmHgを基準とするなど検討を重ねている. また,性別や原疾患名は名義尺度であり,そのまま深層学習に利用することは出来ないため,One Hot Encodingをおこない,深層学習で利用可能な「0」と「1」にする事前処理も行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年11月から2022年3月には事前処理したデータを利用して深層学習をおこない,予測モデルの修正と検証を繰り返しおこなっているが、並行して実施予定の協力施設を5施設程度まで増やし,臨床データの拡充(100万件程度)をはかる予定であったが、2施設、25万件程度と臨床データ取得が遅れている.しかし,予測モデルの検証が当初予定より早く進んでいるので,全体としては順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
事前処理したデータを多変量解析することにより,透析施行中にどの要素が影響を及ぼしているか明らかにする.また,患者背景(年齢,性別,疾患名)により分類して,各群で違いがあるかを明らかにする. 加えて深層学習(ニューラルネットワーク)を利用した、様々な予測モデルの予測結果(正解率,適合率など)の解析をおこない入力パラメータにおいて何が重要な要素であるかを明らかにする.入力パラメータの各要素は深層学習において特徴量として取り扱われるので,予測精度が最も高くなるような入力パラメータの組み合わせを探索する. 2023年1月~3月は様々な解析から得られた結果をもとに,予測モデルの修正をおこない,協力医療施設へ予測モデルを持ち込み,現在のデータをもとに予測をおこなう検証を行う予定である.
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Causes of Carryover |
データ収集のための交通費として計画していた支出が,新型コロナウィルスの影響で医療施設へのデータ収集が計画通りできず次年度使用額が生じた.次年度,引き続きデータ取集をおこなうのでそちらの費用へ充当する.
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