2021 Fiscal Year Research-status Report
北海道に分布するカエルの内部寄生虫相とSpirometra属条虫の系統学的研究
Project/Area Number |
21K21156
|
Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
日高 正人 北海道立衛生研究所, その他部局等, 研究職員 (10911381)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 外来種 / カエル / 内部寄生虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の10月から研究を開始し、北海道における外来種のカエル8匹を解剖し、寄生虫の検査に供した。その内訳は、ヒキガエル1匹、エゾアカガエル2匹、ツチガエル5匹であった。ヒキガエル、エゾアカガエル、ツチガエル1匹は同一の場所で得られた個体で、ツチガエル4匹は同じ市の異なる場所で得られた検体である。 外来寄生虫の有無や人獣共通寄生虫の外来種による影響を確認するため、ヒキガエルなどの外来種だけではなく在来種のカエルも解剖した。 寄生虫検査の結果、ヒキガエルおよびツチガエルからは寄生虫は検出されなかった。一方、エゾアカガエル2匹からは鉤頭虫Pseudoacanthocephalus toshimai、および回虫類であるCosmocercoides sp.が得られた。得られたCosmocercoides sp.は日本から報告されているCosmocercoides pulcherとは、ロゼット状の乳頭の配置や通常の尾部乳頭の有無などから別種とされ、未記載種であることが示唆されている。今回の検体からはマンソン裂頭条虫のプレロセルコイドは確認できなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
科研費納入が10月を過ぎてからであったことで、カエルの採集を開始できる時期が遅かった。北海道ではカエルが10月末には冬眠を開始してしまうため、それ以降は採集できなかった。 それに加え、北海道における外来カエルの生息地の特定が難しかったことが採集数の少なさにつながった。
|
Strategy for Future Research Activity |
外来種カエルは北海道では5月ごろに産卵期に入るので、その時点でカエルの採集を行い、十分なサンプル数を確保する予定である。 ヒキガエル、ウシガエル、トノサマガエルなどの外来種の生息地はおおよそ特定できているため、スムーズな採集が可能になると考えられる。 採集後はこれまで同様に解剖、寄生虫の同定、系統学的解析を進める予定である。 また、去年度の検体では実施しなかったが、今年度以降は筋肉を人工消化液で分解し、その中に寄生する人獣共通寄生虫の検出も行う予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度分の科研費が納入されるまでの間に、調査に行くための旅費に用いる。また、去年購入できなかった物品をそろえるために用いる。
|