2022 Fiscal Year Annual Research Report
フレイル高齢者の社会環境と建造環境との関連を明らかにする大規模実証研究
Project/Area Number |
21K21158
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿部 紀之 千葉大学, 予防医学センター, 特任研究員 (70907716)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | フレイル / 社会参加 / 社会環境 / 建造環境 / 大規模データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では人々のつながりなどの「社会環境」や、公園などの人工的に造られた「建造環境」と、健康な状態と要介護状態の中間に位置する「フレイル」との関連を明らかにすることを目的として実施した。 まずは社会環境や建造環境とフレイルとの関連に関して、先行研究のレビューを行い、地域や集団などにおける社会的環境の一側面を表す「ソーシャルキャピタル」が高いまちに住む人ほどフレイル発症リスクが低いことが明らかとなっていることを確認した。 その中で、ソーシャルキャピタルに包含される「社会参加」に着目し、その種類や数とフレイル発生との関連について検証した。日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study:JAGES)の2016年度と2019年度のパネル調査データの回答者28市町59,545人を分析対象とした。その結果、2016年時点で介護予防、収入のある仕事、ボランティア活動、自治会、学習・教養サークル、特技・経験の伝達、趣味活動、スポーツ活動のいずれかに参加している者は、そうでない者と比べて3年後のフレイル発症リスクが統計学的有意に低かった.さらに,社会参加数が多い人ほどフレイル発症リスクが有意に低かった. 本研究によってスポーツ活動や就労など、体を動かすことを主とする社会参加だけでなく、趣味活動や自治会への参加、ボランティア活動など、幅広い「社会参加」を行うことで、フレイル状態に陥るリスクが低いことを明らかにした。 このことは、社会参加をしやすい地域コミュニティの形成(人とのつながりをもつこと)や、徒歩圏内に社会参加先があるような活動拠点の整備などが重要になることを示唆していると考える。
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