2021 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫患者の体幹部測定方法確立に向けた基礎研究 -3Dスキャナーを用いて-
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21K21164
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 史椰 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (50914149)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳がん術後リンパ浮腫患者の体幹部の測定方法の確立を念頭に、その基礎段階として、3Dスキャンシステムを用いた体幹部測定を試み、その精度を解析を行っている。 2021年度は、30名の被験者における3次元形状データの取得し、得られた3次元データから背部の腫脹の左右差(計8か所)を2名の測定者によって算出した。その測定値における検者内・検者間信頼性を級内相関係数(ICC係数)を用いて算出し、また、測定値の誤差の検証のため、Bland-Altman分析や、最小可検変化量の算出を行った。 被験者のうち、データ欠損などがなかった21名のデータについて、8か所すべてにおいて、極めて高い検者内信頼性が得られた(ICC>0.88, p=0.00)。検者間信頼性については、部位によって差はあるものの、やや高い~極めて高い信頼性(ICC>0.70, p=0.00)であった。 また、Bland-Altman分析により、最も肩に近い測定部位1か所においては、比例誤差がみられるものの、その他の7か所については、系統誤差は認められなかった。その部位を除いた最小可検変化量は4~12mm程度であった。さらに、解剖学的にリンパ浮腫が起こりやすいといわれる4か所においては、4~7mm程度であった。 この結果は、今後リンパ浮腫患者の体幹部の測定方法を確立していくうえで、基礎的データになると考えられ、3Dスキャンシステムを用いた体幹部測定の可能性を見出したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、健常者で約30名、乳がん術後患者で約30名の3次元形状データ取得を終え、解析を行っているところである。また、その中で一部についてはすでに信頼性検証を終え、論文投稿し、現在査読中の段階である。 そのため、おおむね順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請した研究計画では、開発した解析方法の検者内・検者間信頼性を求め、精度を明らかにすることまでを計画としていたが、得られた最小可検変化量などを参考に、健常者と乳がん術後リンパ浮腫の背部形状の特徴の違いなどの検証も視野に研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大により、学会への参加がオンラインになったため。 学会のオンライン化に対応するため、電子端末などの購入にあてる予定である。
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