2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における褥瘡予防と体圧分散マットレスの使用実態及び使用阻害要因
Project/Area Number |
21K21166
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
當山 まゆみ 京都大学, 医学研究科, 助教 (50441316)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / マットレス / 褥瘡 / 介護度 |
Outline of Annual Research Achievements |
褥瘡は活動性低下などで局所が圧迫されることによる血液循環障害に、栄養状態などの全身的要因が影響して発生する。褥瘡により創部の痛みや毎日の創傷処置のため患者のQuality of Lifeは損なわれる。褥瘡予防のために、ハイリスク患者の同定・アセスメント、栄養状態の評価、スキンケア、体圧管理としてのポジショニングに加え、体圧分散マットレス(以下、マットレス)の使用は適切に考慮されるべきである。マットレスの使用で褥瘡発生を抑えるというエビデンスは多く、国内外のガイドラインでも褥瘡予防に対するマットレス使用は強く推奨されている。本邦の介護保険制度ではマットレスのレンタルや購入が適用となっているが、介護施設などの現場では、介護負担の重い高齢者は介護保険サービスが日常生活の身体介助等で使用されマットレスが適用できない等、適切にマットレスが導入されていないケースが散見される。 本研究は「褥瘡予防に対するマットレス使用の効果は高いエビデンスがあるにもかかわらず、介護現場で十分に実施されていないというEvidence-Practice Gapがあるのではないか」及び「適切なマットレス使用を阻害する何らかの要因があるのではないか」との問いを立てた。これらを明らかにするため、介護従事者を対象としたインタビュー調査(質的研究)を行う。さらに、その後に続くアンケート調査(量的研究)を併せた混合研究から介護従事者の視点や経験に基づいた問題点を明らかにする。 本研究の結果から、1.介護現場への介入方法(誰に、どのように知識を提供するべきか)、2.マットレスを適用しやすい介護保険制度の提案(マットレス適用は別途点数を設定する等)につながる可能性がある。本研究が普及と実装(D&I)研究の可能性を示す一助となり、高齢社会における多様なテーマの研究の基盤となることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に関連する文献的レビュー及び本研究につながる医療介護データベースを用いた近年の褥瘡発症の状況やマットレス使用と介護度との関連を明らかにした調査を優先したため、インタビュー・アンケート調査の開始予定がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、本学の倫理委員会に研究計画を申請中である。承認され次第、研究を開始する。近日中に、パイロット調査として数人の介護従事者にインタビューを行う予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査に伴う謝金、タブレット購入などが伴うため。研究実施がやや遅れているため、次年度の使用となった。
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