2021 Fiscal Year Research-status Report
制限付き平均生存時間の差を治療効果指標とした代替エンドポイントの統計的評価手法
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21K21167
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋多 遼太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員(常勤) (00911736)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 代替エンドポイント / メタアナリシス / 制限付き平均生存時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臨床試験で用いる代替エンドポイント(本来注目すべき真のエンドポイントの代わりに用いられる臨床指標)の評価に関する統計的方法論の開発を目指している。特に、生存時間型のエンドポイントについて、制限付き平均生存時間(RMST)の差を治療効果指標として、代替エンドポイントによる評価が真の治療効果を適切に反映しているかどうかを評価する方法に着目している。 本事業開始時点での課題は、申請者が過去に提案した代替性指標の推定量に含まれるバイアスと、標準誤差の過大評価であった。本年度は、理論的な側面のみならず、購入したワークステーションを用いたモンテカルロシミュレーションによる経験的な側面から、上記課題について検討を行った。前者については、一般的な規模のメタアナリシスで使用できるデータ数(試験数およびサンプルサイズ)のもとでは、現在採用している推定手順を用いる場合、根本的に解決しえない問題であることが、モンテカルロシミュレーションの結果から分かってきた。後者については、学内外の専門家と議論を重ねたものの、未だ理論的な原因や解決法には至っておらず、シミュレーションベースでの過大評価を低減できていない。現在の仮説として、当てはめている統計モデルが仮定する確率分布と生存時間型のエンドポイントの分布のミスマッチが原因ではないかと考えおり、引き続き検討を行う。 本研究の内容について、学内外のセミナーにて研究発表を行い、推定量のバイアス低減について有益なコメントを得た。また、現在までの研究結果をまとめた論文を英文誌に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モンテカルロシミュレーションによる統計的性能評価に用いるため、ワークステーションを購入したが、その納品までに期間を要し、シミュレーション研究を十分に実施できなかった。また、標準誤差が過大評価されるとの問題について、学内外の専門家とも議論を重ねたものの、未だ解決に至っておらず引き続きの検討が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでの研究内容をまとめた論文を執筆し、英文誌に投稿する予定としている また、論文投稿に向け、モンテカルロシミュレーションの試行回数を増やし、より精度の高い結果を得る予定である。 標準誤差の過大評価については、論文投稿後も課題として引き続き検討することとし、推定量のバイアスについては、現在採用している推定手順とは異なるアプローチでの解決を模索する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、新型コロナウイルスの収束が見られなかったことにより旅費の使用がなされなかったこと、また、研究の遅延により論文執筆が遅れ、投稿に係る費用を使用しなかった点が挙げられる。次年度は、積極的に論文投稿を行うため、英文校正や投稿費用に対する支出を計画している。また、新型コロナウイルスの感染拡大状況が許せば、いくつかの学会にて研究発表を行う予定としている。
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