2021 Fiscal Year Research-status Report
医師によるヘルス・アドボカシーのニーズと実践に関する基礎的調査
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21K21169
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水間 喜美子 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (20903884)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | ヘルス・アドボカシー / 基礎的調査 / 社会的ニーズ / 促進要因・阻害要因 / アンケート調査 / インタビュー調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康格差対策への機運が国際的に高まり、健康格差の縮小を目指した社会環境の整備が掲げられ、その方策の1つとして、ヘルス・アドボカシーが提唱されている。ヘルス・アドボカシーは、健康の関連要因への人々の権利が包括的に機能することを目指す、医療者による、a)個人への健康対策と、b)健康に関連する社会環境の整備を組み合わせた活動である。世界医師会は、いかなる社会経済的立場の国民であっても、公平に医療にアクセスすることができるよう、全ての医師にアドボケートの能力を求めている。今後日本社会でも、医師によるヘルス・アドボカシーの普及が求められるが、効果的な普及方策の策定のために必要な、ヘルス・アドボカシーへの社会的ニーズと先駆的な実践に関する基礎的なエビデンスが十分に明らかになっていない。 そこで本研究は、幅広い医師を対象として基礎的調査を行い、①ヘルス・アドボカシーが社会でどのように必要とされているかというニーズと、②実践推進のために重要となる促進要因・阻害要因を明らかにする。本研究から、日本社会の実態に沿った効果的なヘルス・アドボカシーの普及方策の策定が期待される。 初年度は以下を行い、それぞれについて倫理審査委員会に審査申請し承認された。 1)ヘルス・アドボカシーへの社会的ニーズを明らかにする調査のためのアンケートの作成(210245疫) 2)ヘルス・アドボカシーの実践推進のために重要な促進要因・阻害要因を明らかにする調査のためのインタビューの質問項目の作成(210272疫)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、以下の研究デザインの設計と調査のための準備に取り組んだ。 1)ヘルス・アドボカシーへの社会的ニーズを明らかにする調査のためのアンケートの作成:一般の医師が、ヘルス・アドボカシーをどの程度認知し、必要とし、どのような方策であれば日本における普及が可能と考えるかを明らかにすることを目的とする。 2)ヘルス・アドボカシーの実践推進のために重要な促進要因・阻害要因を明らかにする調査のためのインタビューの質問項目の作成:先駆的な実践に取り組む医師に対面によるインタビュー調査を行う。先駆的な実践の成功を促した要因や工夫したこと、日本でヘルス・アドボカシーを行ううえで障壁となっている要因や改善が必要と考えることを明らかにすることを目的とする。 しかし、調査を対象者に実施するまでには至らなかったため、来年度は調査の実施及び分析、成果の発表に取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、以下の調査の実施、分析、成果の公表に取り組む予定である。 1)ヘルス・アドボカシーへの社会的ニーズを明らかにする調査 調査対象者は、九州・沖縄の医育大学(n=9;鹿児島、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、福岡、久留米、琉球大学)、その大学の地域医療教育部門が連携する地域の病院(n=30)、診療所(n=50)に勤務する医師(計n=150)とする。 2)ヘルス・アドボカシーの実践推進のために重要な促進要因・阻害要因を明らかにする調査 調査対象者の医師(n=15)は、1)のアンケート調査でヘルス・アドボカシーに取り組んでいるかどうかを尋ね、抽出される。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究デザインの設計と調査の準備のみに取り組んだため、分析のための機器の購入や調査のための旅費、成果発表のための論文投稿費、学会発表のための旅費等が発生しなかった。 令和4年度は、調査の実施、分析、成果公表に取り組み、分析のための機器の購入、調査のための旅費、成果発表のための論文投稿費、旅費等をもって、本年度分と合わせて予算を執行していく予定である。
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