2022 Fiscal Year Research-status Report
赤外線サーモグラフィ法を用いた乳汁うっ滞乳房の皮膚温度分布
Project/Area Number |
21K21171
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Research Institution | Gunma University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
小野 智佐子 群馬医療福祉大学, 看護学部, 教授 (70526136)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 乳汁うっ滞 / 乳房 / 赤外線サーモグラフィ / 温度分布 / 可視化 / 母子のQOL / 母乳保育 / 看護理工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
母乳育児は、女性と乳児の健康を守り、精神的にも経済的にも家族全体に恩恵を与える。母乳育児を中断する要因の多くが乳汁うっ滞であるが、授乳期であればいつでも起こりうる可能性がある。母乳栄養が中断されることは、乳児にとって、栄養学的・情緒的にも危機的な状況に置かれることになる。乳汁うっ滞とは、乳腺に乳汁が溜まった状態であるため、乳汁の流れが悪くなり、濃縮した乳汁の塊が乳管を閉塞することによって、乳房が腫脹し疼痛や発熱の症状を起こしてしまう。さらに乳汁には栄養素が豊富に含まれ、乳頭の乳管を通して外界とつながっているため細菌感染を起こすと悪化しやすい特徴がある。そのため乳汁うっ滞を早期に発見することが重要である。そこで、リアルタイムに温度計測ができる赤外線サーモグラフィに着目した。本研究は、乳汁生成第Ⅲ期における乳汁うっ滞乳房の温度分布をサーモグラフィー法によって、可視化情報として提示することが目的である。農学分野では既に健康牛における体表各部の表面温度解析及び左右差の検討や、馬、牛、羊における乳腺炎検出の検討が行われている。獣医師は、既に赤外線サーモグラフィを使って家畜動物の乳腺炎をはじめとする炎症を診察している。そこで、乳腺炎と類似した症状(発熱や乳房緊満等)が特徴である乳汁うっ滞について、赤外線サーモグラフィを用いて、皮膚 表面温度の画像分析を行う計画で進めている。 データ収集方法を検討し、対象者に現在赤外線サーモグラフィを貸し出し、乳汁うっ滞症状がある場合の「症状の観察」および「赤外線サーモグラフィによる撮影」を依頼し、データ収集の段階である。データ収集が終了した後に表面温度解析及び左右差等の検討をしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍にあり、研究フィールドである医療機関および助産所では、面会制限や来所者制限がある。そのため研究者として研究フィールドに入り調査することが困難な状況である。データ収集方法を検討し、データ収集の工夫をした。対象者とテレビ電話を利用し、問診、状態の確認をしながら研究を進めている。現在、対象者に赤外線サーモグラフィを貸し出し、乳汁うっ滞症状を問診にて聞き取り、乳汁うっ滞症状のある場合にセルフで「赤外線サーモグラフィによる撮影」をしている。現在データ収集中であり、さらに今後対象者を募る予定であることから、遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
乳房の皮膚表面温度分布を非侵襲的にリアルタイムに可視化できる機器を活用したツールがあれば、看護者が統一した判断基準により、乳汁うっ滞の判断が可能である。今後のデータ収集および分析を以下のように推進していく。対象者は、乳汁生成第Ⅲ期にあり、乳汁うっ滞と診断された女性である。データ収集方法を対象者に説明し、赤外線サーモグラフィを貸し出し、乳汁うっ滞症状がある場合の「症状の観察」および「赤外線サーモグラフィによる撮影」を依頼していく。現在、データ収集の段階である。データ収集が終了した後に分析に入る。分析は、左右の乳房画像所見を分析視点に沿って分析する。また解析ソフトを用いた分析も加える予定である。研究施設との調整を行いながら、研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
研究期間終了が令和4年度まであったため、次年度使用額は元々なかった。 コロナ禍にあり、令和4年度までのデータ収集が十分でないため、急遽1年間の延長申請をした。必要な備品および消耗品は購入済であった。
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