2022 Fiscal Year Research-status Report
application of postmortem cultured fibroblast to estimation of Blood ethanol concentration
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21K21178
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
榎本 祐子 関西医科大学, 医学部, 助教 (80909028)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 死後培養線維芽細胞 / ADH酵素活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
エタノールは、法医学分野において重要な薬毒物の1つであるが、血中エタノール濃度推定の際には、エタノール代謝酵素の遺伝的多型による酵素活性の個体差は考慮されていない。皮膚の培養線維芽細胞は生細胞であるため死後変化の影響がなく、生前の先天的性質を維持したまま取り出すことが可能である。本研究では死後培養線維芽細胞を用いて個体差を反映させることを目的とする。 2022年度は昨年度に引き続き、動物実験での解析に加え、ヒトの解剖症例を用いた検討も進めた。 ラット肝臓におけるADHの酵素活性は、死後経過時間とともに低下し、24時間後には著しく減少していた。ラットとヒトの皮膚組織を採取し線維芽細胞を培養後、RNAを抽出し、ラットはGAPDH及びADH1、ヒトはGAPDH及びADH1BプローブにてReal-time quantitative RT-PCRを実施した。またヒトADH1Bのrs1229984の遺伝子多型分類も行った。ADH1Bの遺伝子多型と発現量には相関は認められなかった。ヒトでは線維芽細胞においてはADH1B遺伝子の発現が一定量認められ、死後変化の影響を受けやすい肝組織の代替として、死後の酵素活性測定に使用できる可能性が示唆された。しかしながら、解剖症例15例のみの解析であり、ADH1B遺伝子の多型分類では ADH1B*1/*2が8例、ADH1B*2/*2が7例あったが、ADH1B*1/*1はいなかった。さらに症例数を増やして解析を行いたいと考える。ADH酵素活性の測定方法については、昨年度に引き続き市販キット及びガスクロマトグラフを用いて測定を行っているが、いまだ至適な条件確立に至っていない。引き続き、検討を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解剖症例の検体収集や線維芽細胞の培養については概ね順調に進めることができた。 本実験系での酵素活性測定方法の確立に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
アルコール脱水素酵素(ADH)の酵素活性の測定方法を確立させることが急務であるため、現在検討中の測定方法で各種測定条件を変更しての検討を続けるとともに、死後皮膚培養線維芽細胞でのADHならびにアルデヒド脱水素酵素(ALDH) の酵素活性測定を進めたい。
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Causes of Carryover |
1年未満であるが研究中断期間が生じたため
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Research Products
(1 results)