2021 Fiscal Year Research-status Report
Risk factors and mechanisms of bullying behaviors in the workplace: longitudinal study
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21K21186
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
木津喜 雅 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座准教授 (80431964)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 職場のパワーハラスメント / インターネット調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
職場のパワハラに関する研究の多くは、職場環境やパワハラの被害者となる個人のリスク要因に焦点を当てたものである。パワハラの加害者となる個人のリスク要因については、明確な結論が出されていない。初年度は、ベースライン調査データ(N=4000、20~59歳、就業者、勤続年数半年以上、部下あり)を分析し、日本人労働者において、部下に対するいじめ行為を行うリスクが高い労働者の特徴を明らかにした。分析に用いたサンプルにおいて、過去6か月間に部下に対していじめ行為を行ったことがない人は46.4%、1種類行った人は18.2%、2種類以上行った人は35.4%であった。頻度の高い行為は、「業務の相談をしているとき、パソコンに向かったままで視線を合わさない」、「個人的な趣味・嗜好について必要以上に聞く」などであった。粗分析を行い、部下に対する好ましくない行為のリスクと関連する要因として、性別(男性>女性)、年齢(若齢>高齢)、地位(管理職、正社員>派遣社員)、現在の職場での勤務期間(長い>短い)、部下の数(多い>少ない)、仕事の要求(高い>低い)、職場の社会資本(低い>高い)、現在の職場での職場いじめの被害経験(有り>無し)、幼少期の逆境体験(多い>少ない)、怒り、敵意、心理的苦痛のレベル(高い>低い)、視点取得、共感的関心、自尊感情のレベル(低い>高い)、自殺念慮を有した経験(有り>無し)などと関連していることが確認された。本分析により、職場でいじめ行為を行った者は、行わなかった者と異なる心理社会的特性を有していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ベースライン調査データの分析を行い、回収データにおける項目間の関連性の妥当性も十分高く、学術研究に耐えることを確認し、また、ベースライン調査で用いた調査項目の信頼性や妥当性を確認した。さらに、コホート集団の属性を明らかにするとともに、職場でいじめ行為を行った者は、行わなかった者と異なる心理社会的特性を有していることを示した。一方、ベースライン調査の横断的な分析ののみでは、個人的な特性と職場いじめの加害との関連が因果関係であることを立証することは困難であり、フォローアップ調査を行う必要がある。フォローアップ調査の調査項目の大部分は作成済みであり、調査の委託先も確保された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フォローアップ調査を行い、パワハラ行為の新規発生と尺度得点の変化を調べ、縦断的分析により過去の逆境体験とパワハラ行為との関連、さらにその関連における職場環境と個人特性による媒介を明らかにする。さらに、媒介分析をmarginal structural modelを用いて実施し、幼少期の逆境体験スコアと2年間のパワハラ行為の有無との関連、社会的条件などで調整後のそれぞれの個人特性による媒介の程度、職場環境による影響を評価する。
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Causes of Carryover |
他の財源で実施した調査データを事前に分析することで、十分な情報を得たのちに、それらの成果をふまえて、本研究費で調査を実施することでより効果的な研究が行えると考えられたため。次年度は、計画通り本研究費を用いて調査を実施する予定である。
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