2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of integrated Infusion bag and Intravenous (IV) line for improving the survival rate
Project/Area Number |
21K21200
|
Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
藤原 太郎 長崎総合科学大学, 新技術創成研究所, 客員研究員 (80909812)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 救急医療 / 災害医療 / 救命率向上 / 薬剤投与 / 輸液ライン / 気泡対策 / 感染対策 / 患者安全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では一体型の薬液バッグ・輸液ラインシステムを開発し,医療現場における作業時間を短縮し,感染リスクの軽減を目的とする. ①3Dプリンタを用いたプロタイプ設計・出力について,輸液ライン接続部である薬液バッグ・ビン深部アダプターの形状をfusion360上で見直した.此により急性期医療で開始されることが多い補充輸液剤や維持輸液剤の各種薬液バッグの接続部形状に適応することが可能となった.次に,空気移動防止クランプ付きドリップチャンバーの製作では,昨年度から引き続き,既存の輸液ライン構成要素を改良することにより,当初の計画に沿った仕様のプロトタイプの完成に至った.今回は光造形式3Dプリンタの材料であるレジンの性質から現行のドリップチャンバーの透明度や柔軟性を再現することができず,3Dプリンタ出力のプロトタイプを実験から除外することになったが,基本設計は完成していることから今後メーカから最適なレジンが販売されたときには再度3Dプリンタでの出力を試みることにする.②本研究の鍵を握る部分でもある空気移動防止クランプの性能を評価した.本プロトタイプに薬液を充填させ,横倒し状態(薬液が充填された保管時)から縦状態のセットアップ時(点滴スタンドに設置)のドリップチャンバー内の気体部分の移動を検証した.ここではドリップチャンバー下方のチューブ内への気体の移動を優位に阻止する結果が得られた.③保管時の検証について,昨年度から引き続き,プロトタイプに薬液を充填させた条件での長期保管時の気泡発生の検証,ほか充填する輸液剤毎の気泡発生の有意差の検討を行った. 上記①~③を踏まえ,98th日本医療機器学会大会[一般演題/技術・開発]を発表の場として演題登録を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①3Dプリンタを用いたプロタイプ設計・出力については,昨年度に引き続き,既存の薬液バッグ,及び,輸液ライン構成要素の形状に接続できる設計・出力は概ねできたと考える.しかしながら,3D設計を行うアプリfusion360を使い熟す技量が不足していることは否めない.また,プリンタで出力された造形物の後処理(二次加工)についても更に加工技術を向上させる必要があると自己点検する. ②薬液を充填させたプロトタイプでの検証については,空気移動防止クランプ付きドリップチャンバーの性能の評価,長期保管時の気泡発生の経時的な観察,輸液剤毎の気泡発生の観察は十分な繰り返し実験が実施できたと考える. ③小規模フィールド実験については,研究協力者の医療施設看護師による検証を予定していたがコロナ禍による入館制限によりここまで使用許可が得られなかった.現在,昨今の感染症法上分類変更を機に,先方への依頼に向けた準備を進めている状況である.
|
Strategy for Future Research Activity |
①プロトタイプの設計・出力のバージョンアップを継続する.これは各種薬液バッグ,及び,既存の輸液ライン構成要素に接続するためのバリエーションを増やすことにある.②薬液を充填させたプロトタイプでの長期保管時の気泡発生状況,横倒し状態からのセットアップ時の検証実験を継続する.③98th日本医療機器学会大会での発表に向けた実験データ整理やメディア等の準備を進める.④プロトタイプを用いた医療施設看護師による小規模フィールド実験の準備を研究倫理の確認を含め,計画を進めていく.
|
Causes of Carryover |
補助事業期間の延長が承認されたため,コロナ禍で進められなかった医療施設でのフィールド実験をこの期間で行う計画である.内訳はその際の人件費や交通費等,及び,追加実験に伴う物品購入による.
|