2021 Fiscal Year Research-status Report
脳深部刺激療法前後でのパーキンソン病患者の身体活動量変化とQOLの関連
Project/Area Number |
21K21210
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細川 大瑛 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70907708)
|
Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | パーキンソン病 / 脳深部刺激療法 / 身体活動量 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病に対する脳深部刺激療法は, 薬剤治療の長期経過に伴って生じる運動合併症に有効とされている.しかし, 脳深部刺激療法による運動合併症の改善は, 患者の日常生活における身体活動の増加につながっているのか, 患者の生活の質向上にどのように貢献しているかについては不明である.本研究は,脳深部刺激療法前後のパーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)患者を対象にウェアラブルの身体活動量計を用いて,患者の日常身体活動量と関連する患者の臨床的特徴は何か,治療による身体活動量の変化が患者の生活の質にどのように影響するかを明らかにすることを目的としている.脳深部刺激療法後患者の生活変化と生活の質の関連が明らかになれば, 手術適応を検討するうえで有用であるだけでなく, 実態に即した支援をするための医療及び福祉領域における基盤的事実になる. 本年度は,脳深部刺激療法術前および術後患者を対象に,活動量計データおよび神経心理学的検査データの取得・解析を行った.この解析は令和4年度まで及ぶ予定となっている。 当初予定していた研究参加患者数に達していないが,これまで取得したデータで得られた成果は,パーキンソン病患者の身体活動量計測に適した身体部位の検討や,治療の効果を生活機能の水準で捉えることに寄与する成果である. 令和3年10月から現在まで仙台西多賀病院に入院加療したPD患者5名が研究に参加した.そのうち脳深部刺激療法が施行された患者は3名であった.症例数がいまだ不十分であり,現時点では術後の身体活動量変化と生活の質変化の関連を検討することが困難であるが,本研究の遂行により令和4年度には検証可能となる予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では令和3年度にパーキンソン病患者5名の参加を予定していたが,現時点でデータを取得した患者は3名と少ない状況になっている.その理由として考えられるのは,仙台西多賀病院が担う医療圏において,脳深部刺激刺激療法を検討する患者層が高齢化していることが考えられる.本研究の参加候補者において,術前の各種神経学的・神経心理学的検査によって偶発的に新たな病変が発見されるなど,治療方針が変更となる疾患の合併症罹患率が高くなっている可能性がある.研究参加の候補となった患者の中には,術前の神経学的検査によって脊髄病変が発見された例があり,整形外科的な処置により症状改善を認めたため脳深部刺激療法を施行しない方針となった.
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度における本研究の参加者は3例であった.令和3年度は研究課題の交付決定後から半年間の研究期間であったことを考慮しても,令和4年度が終了した時点で12例程度になるためには,研究参加者を令和3年度と同等,もしくはそれ以上に募る必要がある. 本研究の啓発活動の一つとして,当院スタッフを中心に院内勉強会へ参加を募り,パーキンソン病患者への臨床症候や生活支援に加え,本研究についても広報する予定である.リハビリテーション科へのパーキン病患者の処方が増え,令和4年度における本研究参加者が令和3年度以上になることを期待する.
|
Causes of Carryover |
令和3年度では,研究代表者の研究成果を第55回日本作業療法学会や第45回日本神経心理学会で発表したが,その際の参加費は別経費より支払われたため,計画より出費が少なくなった.また,情報収集のために参加した第5回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会や第45回高次脳機能障害学会学術総会,病態理解に基づくパーキンソン病のリハビリテーションセミナーなどは,新型コロナウィルス感染拡大の影響によりWeb開催となったため,旅費の支出がなかった. 令和4年度は研究参加者が増えることにより,取得したデータ管理に必要なハードディスクを追加する可能性がある.また,活動量計の使用状況によっては破損や紛失例が生じたことにより新規で購入する可能性もある.令和4年度は現地開催の学会も増加が見込まれることから,成果発表に関わる学会参加費や旅費を令和3年度以上に支出すると考えている.
|
Research Products
(2 results)