2023 Fiscal Year Annual Research Report
歩行中の異常知覚および運動制御不全のメカニズムの解明
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21K21239
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Research Institution | Takarazuka University of Medical and Health Care |
Principal Investigator |
林田 一輝 宝塚医療大学, 和歌山保健医療学部, 助教 (00911281)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 歩行 / 感覚運動不一致 / 異常感覚 / 運動制御不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
“手足が自分のものでないような感じがする”といった身体の知覚異常およびそれに伴う運動の不正確さ(運動制御不全)が、感覚運動不一致によって出現するというモデルをベースに本研究は行われた。感覚運動不一致は、自らの感覚運動予測とは異なる感覚がフィードバックされることで生じる。これまで上肢運動中の感覚運動不一致に関する報告は多数あるが、それに比べて下肢運動が要求される歩行運動中の感覚運動不一致のメカニズムは不明であったため、本研究では健常者を対象とした歩行中の感覚運動不一致に焦点を当てて検証を試みた。感覚運動不一致を実験的に操作する方法として、感覚フィードバックを時間的に遅延させる手続きを用いた。検証の結果、上肢運動に比べて、歩行運動中は感覚運動不一致の影響を受けやすいことが分かった(第20回日本神経理学療法学会学術大会発表)、また、遅延時間が長くなるにつれて、影響を受ける歩行の要素は、step時間とストライド時間といった時間的要素であり、step長などの空間的要素は影響を受けにくいことがわかった(第21回日本神経理学療法学会学術大会発表、国際誌査読中)。 また、実験中に“身体軽量感”といった知覚がある一定の条件下で惹起できることがわかった。この身体軽量感は、感覚運動不一致によってもたらされるポジティブな要素であり、本研究によって見出された新規性の高い知見である(第7回基礎理学療法学若手研究者ネットワークシンポジウム、国際誌修正後査読中)。この手続きは、身体重量感を主訴とする知覚異常に対する介入の手立てになる可能性があると考えられる。
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