2021 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ場面の「根性」生成のメカニズムーセロトニン仮説ー
Project/Area Number |
21K21241
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
中川 晃 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (90908021)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 背側縫線核 / セロトニン / ファイバーフォトメトリー / オプトジェネティクス / 疲労 / トレッドミル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、セロトニン(5-HT)の神経核である背側縫線核(DRN)の活動が疲労しても運動を続けるという忍耐力に関わっているという仮説を設定し、仮説証明のため、遺伝子改変マウスを用いて運動中のDRNの5-HT神経活動の計測と操作を行う。 運動中にDRNの5-HT神経活動をファイバーフォトメトリー法によるカルシウムイメージングで測定し、運動と神経活動の関係を解明する。その後、光遺伝学的手法により運動中にDRNの5-HT神経活動を抑制、または興奮させることで運動がどのように変化するのかを明らかにする。こうした実験により、辛い運動中の「根性」生成、すなわちラストスパートを発揮する神経機序を因果性まで含めて解明する。 2021年度は遺伝子改変マウスを用いて運動中のDRNの5-HT神経活動の計測を行った。まず、マウスをトレッドミル走行させ、長時間走行させることでマウスが疲労困憊状態となる運動強度の設定を行った。結果としてマウスは65%の運動強度で長時間の運動が可能となり、長短様々な走行パターンを記録することができた。その後設定した運動強度での運動中にDRNの5-HT神経活動をファイバーフォトメトリー法によるカルシウムイメージングで測定し、運動と神経活動の関係解明を試みた。DRNのトリプトファン水酸化酵素に蛍光プローブであるYC-nano50を発現させたマウスを65%の運動強度で走行させ、その際の神経活動を測定した。その結果、マウスの5-HT神経活動はトレッドミル上でより長い距離を走る際に強く活動する可能性が示唆された。また、走行を中断すると神経活動は抑制され、再び走り出す際に興奮する可能性も示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ファイバーフォトメトリー法による神経活動検出のために、マウスの交配によるホモ化が必要となり、個体作出に時間を要した。また、トレッドミル走でマウスを長時間走行させて疲労させるための適切な運動強度の設定に時間を要した。実験に際して、マウスの背側縫線核上部にある第三脳室を避けるために角度をつけてプローブを挿入する必要があるため、実験開始序盤にはプローブ挿入の際に位置がずれる等の失敗が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
トレッドミル及びオープンフィールドでの神経活動測定が2022年度初頭に終了する見込みであり、光遺伝学的手法によるDRNの神経活動操作に進む。
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Causes of Carryover |
学会参加に際してリモート参加となり、旅費の出費がなくなった。 次年度使用分はファイバーフォトメトリー法及びオプトジェネティクス法を用いたマウスの行動実験終了後に遺伝子発現を確認する際に使用する蛍光染色のための試薬の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)