2021 Fiscal Year Research-status Report
神経筋骨格モデルによるすくみ足歩行の発生機序解明と歩行再建法の提案
Project/Area Number |
21K21242
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
市村 大輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 産総研特別研究員 (10901077)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 神経筋骨格モデル / すくみ足 / シミュレーション / 歩行再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,すくみ足を再現しうる神経筋骨格モデルの構築を行なった.2次元7リンク,18筋を有する筋骨格モデルと脳幹ー脊髄回路を模擬した階層的神経モデルを構築した. 神経モデルからの刺激により,筋モデルが活動し,骨格モデルが駆動する歩行シミュレーションを実装した.歩行を獲得させるには数多くのパラメータを調整しなければならない.40個程度のパラメータを機械学習を用いて探索させ,安定した歩行を獲得することに成功した.その際に並列計算を駆使し,より高速にパラメータを探索するシステムを構築することができた.さらに,歩行シミュレーションでの各関節角度,筋活動,床反力と実際の歩行データを比較した.7割以上の一致であることが確認できた. すくみ足の発生機序には,大脳基底核・補足運動野ループの活動異常,上位脳から脊髄への下降性入力の異常,姿勢制御の異常,視覚情報処理の異常など,複数の神経制御メカニズムが関係していることが示唆されている.しかしながら,歩行制御の多くは最終的に脊髄ー脳幹に集約される.つまり,今回構築した脳幹ー脊髄回路を模擬した神経モデルの出力を変化させることにより,すくみ足を再現できる可能性は高い.そこで,脳幹モデルの出力を変化させ,歩行シミュレーションを試みた.脳幹モデルからの刺激に依存し,歩行のダイナミクスの変化が観察された. このダイナミクスの変化を網羅的に調べることで,すくみ足の発生機序の解明につながると示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
半導体不足により,高性能計算機の確保や納入が遅れた.そのため,機械学習による網羅的なパラメータ探索の実施に遅れが出てしまった.代わりに,精度の高いモデルの構築を行なった. 上記を踏まえ,総合的にやや遅れているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において,すくみ足を模擬しうる神経筋骨格モデルの構築ができた.今後はこのモデルを用いて,すくみ足が出現する条件を網羅的に調べ,さらには実際のすくみ足との比較も行う予定である.
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染対策により,国内外の学会や打ち合わせに参加できなかったため. 次年度使用額は積極的な国際学会への参加と論文投稿費用に充てる予定である.
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