2021 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質のリン酸化状態に着目した生活習慣病の病態把握及び治療への応用
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21K21247
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 葵 群馬大学, 生体調節研究所, 研究員 (10808752)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / Phos-tag対角線電気泳動法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生活習慣病に係る変動可能で機能的なタンパク質のリン酸化部位を明らかにし、新たな治療標的へと発展させることを目的としている。 本年は、Phos-tag対角線電気泳動法を用いたタンパク質のリン酸化状態の評価系確率のため、①Phos-tag対角線電気泳動法の習得とタンパク質の検出方法として抗体を用いたImmunoblotへ発展させ、②FoxM1のリン酸化状態の異なるサンプル条件を検討した。具体的な内容は以下に示す。 ①Phos-tag対角線電気泳動法ではタンパク質の検出はCBB染色で行っており、泳動したサンプルに含まれるすべてのタンパク質のリン酸化状態を捕捉している。しかし、本研究においては特定のタンパク質(FoxM1)のリン酸化状態を評価するため、Phos-tag対角線電気泳動後にPVDF膜へと転写しFoxM1に対する抗体を用いて検出する必要があった。Phos-tag対角線電気泳動では泳動ゲル中にマンガンが含まれるため、PVDF膜への転写効率が低下する。この問題はマンガンをキレートするEDTA処理をするなどにより改善し、安定的に抗体による検出が可能となった。 ②FoxM1は、MAPKやChk2、Cdkファミリーにより、複数個所リン酸化されていることが報告されており、リン酸化部位により核内移行や転写機能の活性化に関与することが知られている。しかし、どのリン酸化部位が生理的に変動可能で機能的な変化なのかは明らかでない。そこで、膵β細胞株であるMin6細胞よりグルコースやインスリン刺激等を行い、核と細胞質分画に分けタンパク質抽出し、Phos-tag対角線電気泳動を行った。すると、核と細胞質分画、MAPKの阻害剤であるU0126添加によりFoxM1の泳動パターンに変化が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FoxM1に対する市販の抗体のバリデーションに想定以上の時間を要してしまった。また、Phos-tag対角線電気泳動後にPVDF膜への転写方法の確立にも当初予期できない問題もあったため。
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Strategy for Future Research Activity |
生理的に変動可能でリン酸化状態の異なる細胞の培養条件が明らかとなってきているので、今後はPhos-tag対角線電気泳動により泳動パターンが変化するスポットを回収し、質量分析計で測定し、FoxM1の転写機能の活性化や核内移行に係る機能的なリン酸化状態を明らかにしていく。スポットの回収のためにはFoxM1の濃縮・精製が必要となる。そこで泳動パターンに変化のある条件で得たサンプルよりFoxM1の抗体を用いて免疫沈降を行い濃縮・精製を試みる。 また、タンパク質のリン酸化状態に着目した生活習慣病の新たな治療標的の創出のために、正常マウスと肥満や糖尿病モデルマウスの肝臓・脂肪組織・膵島・筋肉等の代謝組織からタンパク質を抽出し、Phos-tag対角線電気泳動により、生活習慣病や代謝状態により変化する機能的なタンパク質のリン酸化状態の違いを探索していく。
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Research Products
(4 results)