2022 Fiscal Year Annual Research Report
変形性股関節症の進行抑制を目的とした運動療法の確立-股関節角度と重心位置の制御-
Project/Area Number |
21K21250
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井原 拓哉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座助教 (90908617)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 変形性股関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、変形性股関節症患者の病態進行に関連する歩行中の股関節累積負荷を構成する外部股関節モーメントに着目した。外部股関節モーメントの大小に深くかかわる歩行中の股関節角度及び重心の制御が、変形性股関節症患者でいかに成されているのか、健常者との違いは何なのかを、身体の協調性の観点から明らかにした。また、協調性の大小に深く関与すると考えられる股関節機能に着目して研究を進めた。 その結果、変形性股関節症患者では、健常者以上に身体の重心に対して全身を協調させて歩行を達成していることが示された。また、特に前額面での頭部および胸部が重要な役割を果たしている可能性が示された。股関節角度に対しては、歩行中に使用する股関節の運動範囲を減らすことで、股関節に対する要求を減じていた。特に前額面では、健常者が股関節角度に対する全身の協調的なふるまいを犠牲にしつつ歩行を達成する一方、変形性股関節症患者では、立脚期を通して股関節角度がばらつかないよう、全身を協調させた戦略をとっていることが示された。 これらの結果は、変形性股関節症患者の病態の進行抑制の観点で、股関節自体の運動を制御する身体機能を維持または高めておく必要があることに加え、脊柱~頸部まで含めた全身で動作が達成されていることを鑑み、股関節以外の他部位で動作達成に必要な補償を提供しつつ、変形性股関節症に起因する他疾患(変形性膝関節症や腰椎変性すべり症など)の発症を抑制することが重要である事を示唆していた。
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Remarks |
井原 拓哉. 変形性股関節症患者の姿勢制御応答に関する報告. 第10回日本運動器理学療法学会学術大会 2022.09.24
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