2022 Fiscal Year Research-status Report
発育に伴う筋伸張と思春期における運動のぎこちなさの関連の解明
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21K21253
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐伯 純弥 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00914152)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 筋伸張 / 膝蓋腱 / 大腿直筋 / 超音波エラストグラフィ / 発育変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
中1~中3の男子12名を対象として、膝蓋腱および大腿直筋の硬さの発育変化を検討することを目的とした。 対象の日齢は年齢に換算し、年齢・身長・座高・下肢長から発育年齢(測定時に身長の発育ピークからどの程度年数が離れているか)を求めた。超音波撮像装置のせん断波エラストグラフィ機能を用いて、対象の膝蓋腱および大腿直筋の縦断像を撮像した。測定肢位は背臥位とし、膝関節屈曲角度は0°とした。さらに、膝関節最大屈曲角度を関節可動域として測定した。Pearson積率相関係数を用いて、発育年齢と膝蓋腱・大腿直筋の硬さの関連を検討した。さらに、膝蓋腱・大腿直筋の硬さと膝関節屈曲可動域を検討した。 対象の発育年齢は-0.18±0.91年であった。膝蓋腱の硬さについて発育年齢との間に正の相関が認められ、発育とともに固くなる傾向が示されたが、膝関節屈曲可動域との関連は認められなかった。一方、大腿直筋の硬さについて発育年齢との間に負の相関が認められ、発育とともに柔らかくなる傾向が示された。さらに、膝関節屈曲可動域との間に負の相関が認められた。 先行研究では身長の発育ピークの1年前に大腿骨の発育がピークになると報告されており、先行研究における大腿骨の発育ピーク時期と本研究における膝蓋腱が硬い時期は一致しなかった。膝関節屈曲可動域との関連も認められなかったため、膝蓋腱の材質が硬くなることは骨の成長や可動域と関連しないことが示唆された。一方、先行研究における大腿骨の発育ピーク時期と同じ時期に、本研究においても大腿直筋が硬かった。したがって、骨の成長により大腿直筋が伸張されていることが示唆された。本結果は発育に伴う筋伸張についての基礎的な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自身の新型コロナウイルス感染症罹患により当初予定していた測定会に参加できず、学会発表可能な対象数が確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対象人数を増やし、筋の力学的特性の発育変化について解析することで、思春期における発育に伴う筋伸張について検討を行う。
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Causes of Carryover |
自身の新型コロナウイルス罹患により研究規模を縮小せざるを得ず、次年度使用額が生じた。研究者の所属変更に伴い使用可能な設備に変化が生じているため、それらを必要な装置の購入や対象追加に伴う被検者謝金に充てる。
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