2022 Fiscal Year Annual Research Report
運動習慣が成す腸内細菌叢は急性・慢性炎症における免疫反応のレギュレーターとなるか
Project/Area Number |
21K21270
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
川島 将人 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (90909590)
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Project Period (FY) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 運動 / 腸内細菌叢 / メタボリックシンドローム / 炎症 / 免疫 / マクロファージ / 便移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度に得られた知見を基に、令和4年度(最終年度)では、高脂肪高糖質食餌摂取によって作成した肥満レシピエントマウスに対して、安静条件・運動条件・食物繊維摂取条件・それらの組み合わせ条件を施したドナーマウスの腸内細菌叢を便移植を実施した。その結果、いずれの便移植を受けたレシピエントマウスにおいても、便移植を受けないレシピエントマウスと比較して、体重や体脂肪量、血中脂質パラメーターに改善がみとめられなかった。加えて、糖負荷テストによって評価した糖代謝能についても、便移植による改善がみとめられなかった。また、血中の慢性炎症関連因子においても、便移植による変化がみられなかった。次世代シーケンサーを用いた腸内細菌叢のメタゲノム解析では、どのドナーマウスの便移植を実施しても、便移植前の腸内細菌叢とは異なる腸内細菌叢へと変化することを確認できた。さらに、それぞれの便移植条件に応じて、特徴的な腸内細菌叢が形成されることがわかった。しかしながら、便移植によって体組成や糖代謝能に改善がみとめられなかったことから、本研究の便移植条件でもたらされた腸内細菌叢の変化が宿主の肥満関連パラメーターの改善をもたらす可能性は低いことが示された。今後、抹消組織の詳細な解析を行い、運動や食物繊維摂取による介入を施したドナーマウスの腸内細菌叢移植が、肥満レシピエントマウスに生じる炎症を部分的にでも改善することができるのかについて、腸内細菌との関連を含めて探索する予定である。 本研究期間を通して、習慣的な運動の効果を有する腸内細菌叢移植は、肥満レシピエントマウスの腸内細菌叢を変化させるものの、肥満関連パラメーターへの顕著な改善効果をもたらさないことが明らかとなった。
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